頻繁に聞かれるので、一度まとめておきます。
空き時間にちょっとずつ書いてたら 1 週間以上かかった。笑
ぼくのエンジェル投資の実態
ANGEL PORT (
https://angl.jp/tatsuojapan) に過去の投資先が一覧になっているのですが、ぼくはこれまで累計 20 社強にエンジェル投資をしています。
起業・EXIT を経てエンジェル投資家になった方と違って、
ぼくにはまとまったお金というものがありません。
なのに魅力的なスタートアップからお声をかけていただいたり、紹介していただくことが多いので、1 件あたりの投資金額は最近は本当に少なくなってしまっています。
運良く 100 倍になったとしても、都内だとマンションの 1 室も買えないぐらい...笑
ぼくがエンジェル投資をするタイミングでは、だいたいそのスタートアップは、別の VC や投資家などから数百万円〜数千万円ぐらいの調達をしていることが多いです。
(というかそれを基本の条件にしています。そうじゃないと、ぼくからのお金なんて 1 ヶ月もたたずに無くなってしまうので)
なので、正直
スタートアップ側からすると、少なくともお金の面では、ぼくからの投資なんて入れても入れなくても変わらない、意味がない。
むしろ契約書の手続きや、投資後のコミュニケーションといった手間を考えると、そんな小規模な投資家は入れないほうが良いんじゃないかっていうのが本心。
それでもぼくが入ることで価値が出そうだ、とお互いに (他の株主も含めて) 合意できた場合のみ、超少額の出資を受け入れてもらっています。
具体的には、モバイル中心にデジタルマーケ、営業・ビズデブ関連、人の紹介 (クライアント・提携先候補・採用候補、etc)、ソーシャル拡散、などなど。
(実際には
「しょーもない話でもいつでもレスする」っていうのが一番よくやっていることな気もしています笑。
実際どのへんを価値に感じてもらっているのかは、過去の投資先に聞いてみたいところでもあります。)
とりあえず
「頼みごとは断らず、必ず何かアクションをとる」っていうのをモットーにしています。
というかそうでもしないと、たいした価値出せないし...という不安の表れでもあります。
その他にもぼくの投資スタンスについては、「
ぼくがONE FINANCIAL (ワンファイナンシャル) 社にエンジェル投資した理由」という記事で詳しく書いています。
エンジェル投資家になった経緯
あんまりちゃんと覚えていないんですが...
最初の頃は、いわゆる「EXIT を目指して、エクイティで調達して最短で爆速成長を目指す」という文脈での「エンジェル投資」
ではありませんでした。
直接の知り合い、または、知り合いに紹介された人が起業する際に、創業資金や運営資金が足りないからちょっと出してよ、みたいな相談を受けて。
継続的にその人のお手伝いをしたいな、と思った人に対して何人か「借金 (debt) ではなく出資 (equity) にして、
いつでもアドバイスとかサポートとかを求めることができる間柄になりましょうよ」という意図で、「仲間にしてください」ってお願いして出資させてもらったというのが最初だったと思います。
そんなところから「投資先」というのが数社できて、Facebook で偉そうに「最近はちょこちょこエンジェル投資とかしてます」みたいに投稿したりしていると (調子乗ってますね)、当時まだそんなに「エンジェル投資家である」ことをオープンにしている人が少なかったからですかね...
ちょいちょい、これから資金調達をするスタートアップから直接声がかかったり、知り合いから「資金調達の相談に乗ってやってほしい」と紹介されたり、というのが増えてきて。
その中から「少額でも大丈夫です」というところに限って投資させてもらって、年に 1-2 件ぐらいですかね、少しずつ投資先が増えていきました。
人力【起業家 × 投資家】マッチング
そんなことを会う人に時々話したりしていると、「面白そう、次どこか良さそうな会社に投資するときに紹介して欲しい」みたいに言われることがよくあったんです。
んで自分自身、少額とはいえ投資した先には、時々求められたときにアドバイスしたり人を紹介したりして、まぁそれなりに価値を提供できてるのかなって気がしていたんですね。(思い込みかもしれない)
で段々と、
- 世の中には「めっちゃお金持ってるわけではない」けど「スタートアップに役立つ知識・経験・ノウハウ・人脈などを持っている」かつ「自分自身がエンジェル投資をしてみることにちょっと興味ある」人が「けっこう沢山いる」んじゃないか?
っていう仮説を思いついて。
で、ある時 Facebook に投稿してみたんです。
"
【ゆるぼ】「坂本が次にエンジェル投資するとき、一緒に投資したい/検討したいから教えてくれ」と言われることが時々あります。また、起業家にとっても、複数エンジェルを一気に釣り上げられるのは効率的な面もあると思います。ので、「坂本がエンジェル投資を検討している案件を投げる先の秘密のグループ」を試しに作ってみることにしました。入りたい方は、コメントかメッセで連絡ください。冷やかしは今回はお断り(いいところがあれば本当にエンジェル投資をしたいって方だけ)にします。(情報がuncontrollableに広がるのを極力防ぐため)" (原文ママ)
そしたらこれが思いの外すごい反響があって。
この投稿へのコメントだけで 160 件強、個別にメッセもらった数はちょっと覚えてないです。
少なくともこれ、投資「したい」側のニーズはめちゃくちゃあるなと思いました。
で、とりあえずその人たちを全員入れた Facebook グループを作りました。
極力「ゆるい運用」でも見逃してもらえるように、グループ名は
『エンジェル達夫と天使な仲間たち』。
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ヘッダー画像もユルさの極み! |
よし、じゃあ今後投資先の候補が出てきたら、このグループに投げればいいんだな...
と思ったのですが危ない危ない!
それだと
【ぼくが逮捕されてしまう】というのです!!
お友達の弁護士や会計士の方など複数名が親切にも教えてくださったのですが、なにやら金商法 (金融商品取引法) というものがあって、"適格機関投資家" なるお墨付きを持っていないぼくが投資の募集行為 (私募、というらしい) を 50 名以上の人に対して行うと、それは違法行為になってしまうと。
よく知らないんですが、たぶん「未上場株に投資して財産増やしましょうよ」的な詐欺行為が、タンス預金のおじいちゃんおばあちゃん対象に横行していた、とかなんですかね。
まぁとにかく、素人がそんな募集するのは NG ですよと。
多分いくつか条件とかあるんでしょうけど、専門ではないので詳しい解説は割愛。
興味ある方は調べてみてください。
(余談ですが、何かしらアクション起こすと、付随して思いもよらない勉強が出来るので、良いですね)
なので、今はこんな運用にしています。↓
まずそのグループに入っている人に、Google フォームで「エンジェル投資家としての自分の情報」を提供してもらいます。
項目としては、バックグラウンド、投資できるバリュエーションと金額のレンジ、どれぐらい積極的に投資したいかどうか、お金以外にスタートアップにどんな価値提供が出来るか、などです。
今だいたい 80 名ぐらいの方が回答してくれています。
またこれもふざけた感じですが、そのスプレッドシートには
「坂本達夫のエンジェルリスト」という名前をつけています。笑
んで、これからエンジェルから調達したいですって起業家の人に会った際、そのリストをこっそり見せて (公開しちゃうと個人情報的によくない)、どの人から投資してもらいたいかを 5-10 名程度ピックアップしてもらいます。
その方たちに、そのスタートアップの簡単な紹介文とともにぼくが個別にメッセを送って、「紹介 OK」を貰えたら、グループチャットを作って起業家と繋ぐ、と。
非常にマニュアルなオペレーションを、過去 1 年ちょっとやっています。
定量的な何かがあると説得力あるのですが、きちんとしたログを残していない (Facebook メッセをひたすら遡ればカウント自体は可能w) んですよね...
ざっと数えただけでも、20-30 社ぐらいは紹介してるので、たぶん 100 件は下らないぐらいの数の紹介を行ってきていると思います。
そもそも紹介している時点で、ぼくが「微妙だな」と思うところは 1 件もないし、そこの信頼 (言い方悪いですが、しょーもないスタートアップを紹介したりはしない) で成り立っている仕組みだと思うので、逆に言うと
ぼくも「ここ投資したいな」って思うとこがほとんどなんですよ。
もちろん金額やらタイミングやらのせいで投資できないこともあるんですが、ほんと少額 (数が増えたせいで、以前よりも 1 件あたりの金額はさらに小さくなったw) でも投資させていただける機会は増えました。
その結果が、最初に書いた通り、ただのサラリーマンなのに 20 件以上もエンジェル投資させていただいている、というものです。
学びと今後の課題
学びというか純粋な発見として、前述の通り
- 世の中には「めっちゃお金持ってるわけではない」けど「スタートアップに役立つ知識・経験・ノウハウ・人脈などを持っている」かつ「自分自身がエンジェル投資をしてみることにちょっと興味ある」人が「けっこう沢山いる」
という仮説が正しかった、なんなら予想以上だったというのが実証できました。
たぶん東京圏だけで数万人から十万人ぐらいはいるんじゃないですかね、エンジェル投資家予備軍というかワナビーというか。
たまたま機会がないだけっていう。
また、全員に話聞いたわけじゃないので分からないですが、少なくとも自分の目の届く範囲では、
サラリーマンエンジェル × スタートアップのマッチングで双方ハッピーになっているケースも結構あるなという印象です。
ファイナンシャルな意味でのリターンはまだ出ていない (1 年やそこらで出るもんじゃない) のですが、キャリアある方の知見がスタートアップにとって役に立っているケースや、投資した側も
自分の知見がスタートアップの役に立っているという充足感?みたいなものを得られているんじゃないかってケースなど。
もちろん今後やらかしちゃうケース (紹介したスタートアップが蒸発しちゃったり、エンジェルの側が「そりゃダメでしょ」って振る舞いをしちゃったり) も出てくるのかもしれないけど...
出てくるのかな...
出てくるんだろうなぁ...
はぁぁ(溜息)
まぁそういうケースがなるべく起こらないように、双方サイドへの教育というか啓蒙というか、みたいなことをやったり、適切に期待値調整したり、みたいなことは今後やっていかないといけないのかもしれないですね。
あといくつか解決したいなと思っている課題としては
- 特定の投資家に人気が偏って、全然声かからない投資家もいる
(事業のタイプによって、こちらから投資家をリコメンドとかしたほうがいいのかも)
- ぼくの手が回らず、対応が遅れてしまうことが時々ある
(ぼくの Facebook アカウント
- 投資先が成長してきたとき、シードからシリーズ A ぐらいまで投資できる VC や事業会社を紹介する、というのを上手くできるようになりたい
といったあたり。
(特に 3 については、自分で起業もファイナンスもしたことない自分には、知っている VC・CVC・事業会社の知り合いが少ないので、ゆくゆくお知り合いを増やしていきたい)
あ、あともう 1 つ重要なのがありました。
投資したいスタートアップが多いのに、自分自身にお金がない!
これはもう稼ぐしかないですかね...笑
あぁもう長い文章書いて疲れたので、このへんで筆を置いて公開しちゃおう。
最後グダグダで申し訳ない!
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