※『アプリストア検索広告』とASOについて、めっちゃ詳しいリバティーンズ社のお 2 人にお話を聞いてきたので、インタビュー形式でお届けします!記事タイトルは適当です。ポイントは多分 5 つどころじゃなくもっと沢山ありますw
ぼく:よろしくお願いいたします。リバティーンズさんについて、ぼくは「ASO (App Store Optimization = アプリストア最適化)」の事業をやっているという理解しかないのですが(笑)、何やってる会社なのか簡単に教えてもらえますか?
山口 雄大 (以下「山口」):リバティーンズの事業内容は大きく 2 つで、「ASO を用いた Search マーケティング事業」ならびに「海外マーケットに主軸を置いた自社アプリ開発」です。
ぼく:はじめからその事業をやっていたんですか?
山口:いえ、弊社は 2007 年に創業したのですが、創業当初はモバイルといってもガラケーの広告代理事業などをメインで行っておりました。
ぼく:2007 年というとなんならスマホもまだ...
山口:そうですね、iPhone が発売されたのが 2007 年で、大きくアプリの流通が広がったのは 2008 年に iPhone3G が発売されてからです。弊社もそれをきっかけに、事業のほとんどの機能をスマホへシフトしております。
ぼく:その当時ってまだ「ASO」みたいな概念もほとんど無かったですよね。
山口:はい。当時はアプリ開発の受託や自社アプリ開発などを行っていたのですが、「アプリ広告」というもの自体が存在しておらず、アプリマーケットの中の特に Search やアイコン・スクショなどの見直しによる CVR (Conversion Rate = 転換率) の改善を行っていたんですね。
ぼく:なるほど、支援側というよりは自分たちがアプリを配信する側にいて、実際に手を動かして試行錯誤していたと。
山口:その後も、インストールを自然流入で増加させるためには何が必要か、どの様な調整を行うべきか、何をすべきないか/何をしてはいけないか、などをずっと分析し続けています。スマホアプリ市場の拡大と共に、そういったノウハウを一元化させ、新しいサービスとして現在の事業を立ち上げ、ASO と既存の広告の仕組みをかけ合わせて新しい価値を世の中にご提供しております。
ぼく:アプリ Search マーケティング事業、でしたっけ。ASO のコンサルとか、検索広告の代理店みたいなイメージですか?
堂道 健太 (以下「堂道」):単なるアプリストア最適化や広告代理運用にとどまらず、オーガニックと広告を全て含めた集客最大化を目的として事業を営んでおります。
ぼく:そこって別々にやるのではなく、両方一緒にやったほうが明確にいいことってあるんですか?
堂道:数多くの相関関係やメリットが存在するのですが、一つ分かりやすい事例をあげると、「AdWords や Apple SearchAds で取得出来た情報を ASO に活かす」ということが出来るようになります。
ぼく:分かりやすい例を挙げていただいたのにスミマセン、よくわかりません(笑)。
堂道:例えば、ストアで何のキーワードを設定すべきか、どのキーワードの検索上位をとるべきかなど、詳細に把握するためには、どうしても推測的な側面が拭い去れないじゃないですか。
ぼく:確かにそうですね。
堂道:そのため、広告運用から得られたデータを ASO 側に還元することで初めて効果が最大化されると考えているのです。
ぼく:ほうほう。
堂道:例えば、どのキーワードが自社アプリにとって最も CVR が良くて ASO 的に重要か、件数を確保するならこのキーワードを押さえておくことが大事だといった分類が、広告のデータを使うことで初めて可能になります。
ぼく:なるほど〜!「どのキーワードが大事か」をそもそも特定するときに、アプリのタイトルや説明文の中でテストするのは物理的に難しいけど、広告ならたくさんキーワードがあってもデータとれますもんね。
山口:また、そこで得たデータをスクリーンショットなどに応用することで、そのアプリページそのものも効率的なものになります。ユーザーが「こういうアプリないかな」って探しているキーワードを、一番目立つスクリーンショットに入れることで、アプリページからの CVR も改善しようということですね。
ぼく:ぼく自身も以前アプリ出したとき、スクショに入れるキーワードとかはかなり感覚で選んでました。データが大事大事ってお客さんにはいつも言ってるのに、恥ずかしい、、、
山口:そのため、ASO のコンサル部分に関しては無料でご提供し、通常の代理店と変わらない代理店手数料のみのビジネス形態にしております。どちらか一方だけの実施だと集客の最大化は不可能だというのが我々の考えなので、「どちらか一方だけ」という形でのご依頼はお受けしないことにしています。
ぼく:合理的ですが確かに顧客目線ですね。アプリでこの領域に特化してやろうと決めた理由は何ですか?
山口:やるなら No.1 を目指したかったので、敢えてアプリ Search の分野にセグメントを絞りました。需要は存在するにも関わらず、事業として成立させている事業者が居なかったというのが大きな理由です。
ぼく:ストア内検索ってかなり重要なファクターですよね?
堂道:はい、ユーザーの 63% が検索経由でアプリをダウンロードしており (※Nielsen/Google, 2013)、ストア内だけでなくブラウザ検索でアプリを見つけているユーザーも多いため、間違いなく非常に重要なファクターです。
堂道:また弊社が ASO の分野に注目した時期がで世界的にも早く、事業的にもかなりアドバンテージがあったということも大きいと思っています。当時は ASO の概念自体も曖昧でキッチリ定義した存在が無かったので、自分たちでその領域を定義していこうというのをずっとチャレンジしています。
ぼく:検索というと SEO がすぐに思い出されるのですが、アプリに注力されてるのにも理由があるんでしょうか?
堂道:スマートフォンやアプリの最大の魅力は、世界中にコンテンツマーケットの流通が成立していることだと思っているんですよね。国内だけにとどまらないビジネス展開の土壌が初めから備わっていることが、アプリに特化するに値する理由かと思っています。
ぼく:アプリストアという流通チャネルの存在が大きいと。
堂道:流通チャネルが世界共通だからこそ、世界のどこでもある程度同じ戦い方が出来るので、ノウハウが活きます。最終的にアプリの勝負は、有料プロモーションを駆使しながらもオーガニックも含めた総数であるため、お客様へ非常に有用な価値の提供が出来るというのも、アプリに特化している理由です。
ぼく:とてもよくわかりました。
ぼく:現在のクライアントの業種はどういうところが多いんですか?
山口:今は中~大手企業が中心ですね。理由はいくつかありますが、まずはコンテンツがある程度しっかりしたものでなくては、ASO 効果が発揮しづらいという側面があります。
ぼく:それはどういう理由ですか?
堂道:例えば GooglePlay は “有効インストール数” などを重要な指標に置いており、すぐに離脱するユーザーが多い (継続率が低い) アプリはそもそも上位表示が困難になる場合があります。そのため、ある程度ユーザーファーストでアプリの内容を考えられていないとそもそも自然流入増が困難な場合があります。
ぼく:なるほど〜。そもそも最低限のクオリティのアプリを作れていないと、小手先の ASO だけでは通用しないってことですね。
堂道:はい。また ASO 自体がそれ単体で機能するというより、あくまで複合的なものであるということが 2 点目の理由になります。キーワードだけ弄ればどうにかなるといった表面上の話ではなく、アイコン・スクショ・コンテンツ・キーワード・プロモーションチャンネル・プロモーション規模、その他多くの要素が絡み合って初めて大きな効果を発揮します。
ぼく:様々な施策をやってはじめてワークするから、そういった施策を行えない規模のところでは効果も見えづらいということですかね。
堂道:はい。そのため、必然的に中規模以上のデベロッパーさんでまだ ASO などを本格的に着手されていないお客様などが多くなっていき、顧客満足度も高くなっていく傾向にあります。
ぼく:アプリのカテゴリでいうと、どのカテゴリのお客さんが多いんですか?
山口:アプリのマネタイズが上手くいっているところの主流がゲームであるため、ゲーム会社様からの引き合いは多いことは事実です。が、クライアント構成自体は非ゲームもかなりの割合を占めています。
ぼく:どういうフェーズに御社のサービスが向いていますか?逆に、向いてない会社もありますか?
山口:アプリのフェーズとしては、本来はアプリのリリース期にある程度のプロモーションと共に行うことが最も重要だと考えています。理由は、Google Play・Apple 共にリリース直後のアプリが自然流入の面で優遇されていると私共は考えているためです。
ぼく:新着ランキングに入るからですか?
山口:それもありますが、他にもアルゴリズムの面で優遇されていると我々は分析しています。
ぼく:そうなんですね〜。ってことはそれだけ、比較的少ない費用でデータを集められるから有利ってことですね。
堂道:そうなります。また、ゲーム・非ゲーム問わずどうしてもユーザーの質が初期段階の方が良いので、そういったユーザーを囲うといった LTV 的な視点からも重要になってきます。
ぼく:リリースから時間がたったタイトルだと難しいんですか?
堂道:あくまで初期段階から導入した方がメリットが大きいということであって、リリース後でも対応や改善は十分可能です。実際そちらの需要の方が大きいので。
ぼく:アプリの寿命も伸びてますもんねぇ。
山口:また、広告費がゼロで ASO のみに頼ろうとする企業さんもいますが、そういう形よりむしろ、ASO を下地にしてプロモーションを行っていくことで、結果的にオーガニックユーザーを潤沢に獲得できるという良さがあります。
ぼく:差し支えない範囲で、この施策がうまくいった事例と、その要因を教えてください。
堂道:例えば検索最適化の結果、CVR (転換率) が 20%→50% 以上、最終的にダウンロード件数も週次で 1 万ダウンロード増したアプリがあります。
ぼく:まじですか...!リバティーンズさんが入る前はどういう状態だったんですか?
堂道:関わらせていただく当初は、特定の 1 つのキーワードで 2~4 位前後にいただけの状態でした。そのため自然流入が増えずご相談いただいた経緯がありました。
ぼく:なるほど、やりごたえがありそうですね(笑)。どういうとこから手をつけたんですか?
堂道:例えばキーワード 1 つ 1 つも、「恐らくこれじゃないか?」という担当者の推定というか思い込みで選定されていただけで、決して根拠に基づいたものではありませんでした。
ぼく:そういうところ少なくなさそうですね。。
堂道:そこで、広告を運用しながら、キーワードの設計からアイコン・スクショその他の見直しのアドバイスなどを含め、徐々にチューニングを行っていきました。その結果、最もコンバージョン率が良いキーワード、有効な・有効でないキーワードの組み合わせ、など明確に定義しました。
山口:その結果、目的としたキーワード群ほぼ全てで上位に表示されるようになりました。特に、CVR が良いキーワードを抽出することで、ストア内で情報として何を推すかをデータドリブンで決められるようになるというのがポイントです。
ぼく:その施策が、先におっしゃっていた、週次でプラス 1 万ダウンロードという結果に繋がったわけですね。
堂道:また他の事例では、ASOを行うことにより、ユーザーの質の最大化が可能となり、インストール後の KPI が大きく改善した事例も多数あります。とても上手くいった例だと、課金率が 2 倍以上に改善して LTV が向上した、といったこともありました。
ぼく:え、なんでそんなことが。。。
堂道:検索型集客の特徴として、ご存知の方も多いかと思いますが、ユーザーの質があらゆる集客チャネルの中でも最上位クラスに位置するんですね。
ぼく:あぁ、もともとそのアプリを「探して」ダウンロードしにきてるユーザーだから...
堂道:はい、これは考えてみれば当然ですね。純粋に、本来アプローチすべきユーザーにリーチを行うという視点だけでも、課金率や継続率にプラスの変化を及ぼすことは容易に想像いただけるかと思います。
ぼく:それだけ重要なストア内検索なのですが、広告に絞っていうと Apple の search ad って米国はじめいくつかの国でしかまだ使えないですよね?
山口:現時点 (2017 年 12 月) では、アメリカなどの英語圏、メキシコ、スイスなど順次拡大されている様です。いつ日本で開始されるかはまだ不明の様です。恐らく日本語という独特な言語に対応するのに多少の時間を要するのだと考えていますが、そう遠くない将来導入されると考えております。
ぼく:御社でも運用実績あるんですよね?効果はやっぱり高いんですか?
山口:自社のアプリを含め、国内の事業者様の海外向けアプリも既に取り扱いさせていただております。広告効果は「やり方次第」といったところです。
ぼく:「すげーいいぜ」じゃないんですか?
山口:やはり単純に何気なく設定して運用を行うのではなく、根拠に基づいた運用手法とキーワード設定が必要です。更にこちらも ASO と組み合わせて行うことによりオーガニックの増加にも繋がります。今、国外向けに広告運用をお手伝いさせていただいているお客様にとっては、申し分ない結果が出ていると思っております。そのため日本でリリースされた際もお客様のお役に立てると思っております。
ぼく:逆に Google って、アプリプロモーションだと UAC (Universal App Campaign) しかできなくなったじゃないですか。御社に運用を任せると、ディスプレイ等も含めて全部お願いしないといけなくなるんですか?
堂道:基本的にはそうしていただいております。全て一本化にされたため、UAC を運用させていただく中で、検索広告部分についても最適化を行います。当然、他の代理店さんと同様、動画などのクリエイティブもお客様には無料で作成し、PDCA を回して、UAC 全体として見た場合も相対的に質の高いサービスを提供できていると考えております。
ぼく:検索広告とディスプレイ・動画広告等が別だったころと比べて、UAC になって出来なくなったこととかは無いんですか?
堂道:UAC に一本化されたことで、以前は把握できたキーワードごとの CVR などが把握しづらくなっています。しかし、我々は過去数年に遡ってこの事業を行っており、国内外問わず「この業態のこのアプリはこのキーワード」というのをかなりの精度で特定できています。こういった価値をお客様にご提供できるのも我々の強みになります。
ぼく:最低でもこれぐらい予算ないとやっても効果が見えにくい、みたいなラインってありますか?
堂道:アプリによりますが、約 50~100 万円/月、というところかと思います。あまりに予算規模が小さすぎると、何の情報も分からず終わるケースもあります。
ぼく:ありますねえ。AppLovin でもあります...。リバティーンズさんにお願いしようかどうかって迷ったとき、そもそも自分とこのアプリが ASO うまくやれてるかどうかを診断できる方法やツールってありますか?
山口:まず、ツールとしては存在していません。ASO の定義として、”広義の” ASO と “狭義の” ASO が存在しています。
ぼく:違いを教えてください。
山口:狭義的には、単純なキーワードのリーチと上昇など。広義としては、スクリーンショットやアプリページそのものも含めた CVR などを指します。もっと広義になると、アプリの内部にすら改善点が及ぶ場合もあります。
ぼく:なるほどなるほど。
山口:ここまで全て診断するとなるともはやツールでは対応できないため、我々の価値があると思っています。ツールはあくまで補助として活用され、その他を我々の様なサービスで補っていただければと思っています。
ぼく:キーワードごとの順位とか教えてくれるサービス、たとえば SearchMan とか MobileAction とかあるじゃないですか、あれの良し悪しとかってご存知ですか?
山口:個人的に SearchMan の方が使い勝手が良いかと思います。他のツールに比べて日本語にカスタマイズされているのと、API サービスなど、かなり遡って色々な情報が取得できる作りになっているので。サジェスト結果、トレンド検索の履歴など他ではない機能も提供しているようです。
ぼく:色んな情報を使って細かく運用しようというときに役立ちそうですね。
堂道:また、キーワードごとの順位を教えてくれるサービスの中には、日本のストアと異なっている順位を表示しちゃうサービスも多いです。そういった意味でもサービスインしてから長い間支持されているものを採用すべきだと思います。
ぼく:サービス・プロダクトが使われ続けてきているという実績が、クオリティを証明しているだろうと。
山口:創業者の柴田さんの知名度は今や鰻登りでもはや何も言う必要がないかと思いますが(笑)、国内事業者であれば SearchMan をオススメ致します。
ぼく:なるほど、ありがとうございます。
ぼく:いろいろ話していただきましたが、こんなに喋っちゃって大丈夫ですか?
山口:まだまだお話していないメソッドはたくさんあるので、大丈夫ですよ。
ぼく:お客さんの中には、リバティーンズさんからノウハウを学んだあと、「これなら自分たちでも出来そうだ」って自立というか、離れていっちゃうこととかないんですか?
堂道:そういう方も中にはいらっしゃいますよ。でも、多くの方が戻ってこられます。
ぼく:なんで戻ってくるんですか?オペレーションが大変だからですか?
堂道:オペレーションの面もありますが、ノウハウのアップデートが必要という側面が大きいです。SEO と同様に、アプリ内検索においてもアルゴリズムやトレンドが変わり続けています。弊社はこの領域だけをやっているので当然キャッチアップも早く出来ますが、よほどリソースに余裕のあるところでないと、アプリ事業者自身が全ての変化についていくことは難しいと思います。
ぼく:確かにおっしゃる通りですね。いやぁ楽しかった、今日はどうもありがとうございました。またちょくちょくお話聞かせてください!
山口:はい、またアップデートお届けします!
こんなかんじです!
もしリバティーンズ社に ASO と検索広告運用をお願いしたい・相談したい方がいたら、ご紹介可能なので気軽にお声がけください (о´∀`о)
Q
ぼく:よろしくお願いいたします。リバティーンズさんについて、ぼくは「ASO (App Store Optimization = アプリストア最適化)」の事業をやっているという理解しかないのですが(笑)、何やってる会社なのか簡単に教えてもらえますか?
リバティーンズってどんな会社?
山口 雄大 (以下「山口」):リバティーンズの事業内容は大きく 2 つで、「ASO を用いた Search マーケティング事業」ならびに「海外マーケットに主軸を置いた自社アプリ開発」です。
山口 雄大
大学卒業後、モバイル広告ベンチャー企業に入社。2007 年リバティーンズ株式会社創業。モバイルに特化した広告代理事業、自社アプリ開発事業、アプリ開発受託事業の立ち上げを行う。2008 年よりアプリのマーケティング手法の一つである ASO に従事。2014 年よりアプリに特化した Search マーケティング事業(ASO 事業/広告代理機能)を立ち上げ、事業を大きく拡大させる。慶應義塾大学総合政策学部卒。
ぼく:はじめからその事業をやっていたんですか?
山口:いえ、弊社は 2007 年に創業したのですが、創業当初はモバイルといってもガラケーの広告代理事業などをメインで行っておりました。
ぼく:2007 年というとなんならスマホもまだ...
山口:そうですね、iPhone が発売されたのが 2007 年で、大きくアプリの流通が広がったのは 2008 年に iPhone3G が発売されてからです。弊社もそれをきっかけに、事業のほとんどの機能をスマホへシフトしております。
ぼく:その当時ってまだ「ASO」みたいな概念もほとんど無かったですよね。
山口:はい。当時はアプリ開発の受託や自社アプリ開発などを行っていたのですが、「アプリ広告」というもの自体が存在しておらず、アプリマーケットの中の特に Search やアイコン・スクショなどの見直しによる CVR (Conversion Rate = 転換率) の改善を行っていたんですね。
ぼく:なるほど、支援側というよりは自分たちがアプリを配信する側にいて、実際に手を動かして試行錯誤していたと。
山口:その後も、インストールを自然流入で増加させるためには何が必要か、どの様な調整を行うべきか、何をすべきないか/何をしてはいけないか、などをずっと分析し続けています。スマホアプリ市場の拡大と共に、そういったノウハウを一元化させ、新しいサービスとして現在の事業を立ち上げ、ASO と既存の広告の仕組みをかけ合わせて新しい価値を世の中にご提供しております。
ぼく:アプリ Search マーケティング事業、でしたっけ。ASO のコンサルとか、検索広告の代理店みたいなイメージですか?
アプリ Search マーケティング事業って何?
堂道 健太 (以下「堂道」):単なるアプリストア最適化や広告代理運用にとどまらず、オーガニックと広告を全て含めた集客最大化を目的として事業を営んでおります。
堂道 健太
大学卒業後 2006 年証券会社入社。2008 年リバティーンズに参画。ASO(アプリストア最適化)及び北米向けアプリ開発に従事。コンテンツ制作とマーケティングを担当。ASO のみで月間 100 万ダウンロード達成。その後アプリ Search マーケティング事業を統括。慶應義塾大学総合政策学部卒。
ぼく:そこって別々にやるのではなく、両方一緒にやったほうが明確にいいことってあるんですか?
堂道:数多くの相関関係やメリットが存在するのですが、一つ分かりやすい事例をあげると、「AdWords や Apple SearchAds で取得出来た情報を ASO に活かす」ということが出来るようになります。
ぼく:分かりやすい例を挙げていただいたのにスミマセン、よくわかりません(笑)。
堂道:例えば、ストアで何のキーワードを設定すべきか、どのキーワードの検索上位をとるべきかなど、詳細に把握するためには、どうしても推測的な側面が拭い去れないじゃないですか。
ぼく:確かにそうですね。
堂道:そのため、広告運用から得られたデータを ASO 側に還元することで初めて効果が最大化されると考えているのです。
ぼく:ほうほう。
堂道:例えば、どのキーワードが自社アプリにとって最も CVR が良くて ASO 的に重要か、件数を確保するならこのキーワードを押さえておくことが大事だといった分類が、広告のデータを使うことで初めて可能になります。
ぼく:なるほど〜!「どのキーワードが大事か」をそもそも特定するときに、アプリのタイトルや説明文の中でテストするのは物理的に難しいけど、広告ならたくさんキーワードがあってもデータとれますもんね。
山口:また、そこで得たデータをスクリーンショットなどに応用することで、そのアプリページそのものも効率的なものになります。ユーザーが「こういうアプリないかな」って探しているキーワードを、一番目立つスクリーンショットに入れることで、アプリページからの CVR も改善しようということですね。
ぼく:ぼく自身も以前アプリ出したとき、スクショに入れるキーワードとかはかなり感覚で選んでました。データが大事大事ってお客さんにはいつも言ってるのに、恥ずかしい、、、
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山口:そのため、ASO のコンサル部分に関しては無料でご提供し、通常の代理店と変わらない代理店手数料のみのビジネス形態にしております。どちらか一方だけの実施だと集客の最大化は不可能だというのが我々の考えなので、「どちらか一方だけ」という形でのご依頼はお受けしないことにしています。
ぼく:合理的ですが確かに顧客目線ですね。アプリでこの領域に特化してやろうと決めた理由は何ですか?
山口:やるなら No.1 を目指したかったので、敢えてアプリ Search の分野にセグメントを絞りました。需要は存在するにも関わらず、事業として成立させている事業者が居なかったというのが大きな理由です。
ぼく:ストア内検索ってかなり重要なファクターですよね?
アプリとストア内検索について知っておきたいことは?
堂道:はい、ユーザーの 63% が検索経由でアプリをダウンロードしており (※Nielsen/Google, 2013)、ストア内だけでなくブラウザ検索でアプリを見つけているユーザーも多いため、間違いなく非常に重要なファクターです。
堂道:また弊社が ASO の分野に注目した時期がで世界的にも早く、事業的にもかなりアドバンテージがあったということも大きいと思っています。当時は ASO の概念自体も曖昧でキッチリ定義した存在が無かったので、自分たちでその領域を定義していこうというのをずっとチャレンジしています。
ぼく:検索というと SEO がすぐに思い出されるのですが、アプリに注力されてるのにも理由があるんでしょうか?
堂道:スマートフォンやアプリの最大の魅力は、世界中にコンテンツマーケットの流通が成立していることだと思っているんですよね。国内だけにとどまらないビジネス展開の土壌が初めから備わっていることが、アプリに特化するに値する理由かと思っています。
ぼく:アプリストアという流通チャネルの存在が大きいと。
堂道:流通チャネルが世界共通だからこそ、世界のどこでもある程度同じ戦い方が出来るので、ノウハウが活きます。最終的にアプリの勝負は、有料プロモーションを駆使しながらもオーガニックも含めた総数であるため、お客様へ非常に有用な価値の提供が出来るというのも、アプリに特化している理由です。
ぼく:とてもよくわかりました。
どういうアプリパブリッシャが ASO と検索広告を活用すべきか?
ぼく:現在のクライアントの業種はどういうところが多いんですか?
山口:今は中~大手企業が中心ですね。理由はいくつかありますが、まずはコンテンツがある程度しっかりしたものでなくては、ASO 効果が発揮しづらいという側面があります。
ぼく:それはどういう理由ですか?
堂道:例えば GooglePlay は “有効インストール数” などを重要な指標に置いており、すぐに離脱するユーザーが多い (継続率が低い) アプリはそもそも上位表示が困難になる場合があります。そのため、ある程度ユーザーファーストでアプリの内容を考えられていないとそもそも自然流入増が困難な場合があります。
ぼく:なるほど〜。そもそも最低限のクオリティのアプリを作れていないと、小手先の ASO だけでは通用しないってことですね。
堂道:はい。また ASO 自体がそれ単体で機能するというより、あくまで複合的なものであるということが 2 点目の理由になります。キーワードだけ弄ればどうにかなるといった表面上の話ではなく、アイコン・スクショ・コンテンツ・キーワード・プロモーションチャンネル・プロモーション規模、その他多くの要素が絡み合って初めて大きな効果を発揮します。
ぼく:様々な施策をやってはじめてワークするから、そういった施策を行えない規模のところでは効果も見えづらいということですかね。
堂道:はい。そのため、必然的に中規模以上のデベロッパーさんでまだ ASO などを本格的に着手されていないお客様などが多くなっていき、顧客満足度も高くなっていく傾向にあります。
ぼく:アプリのカテゴリでいうと、どのカテゴリのお客さんが多いんですか?
山口:アプリのマネタイズが上手くいっているところの主流がゲームであるため、ゲーム会社様からの引き合いは多いことは事実です。が、クライアント構成自体は非ゲームもかなりの割合を占めています。
ぼく:どういうフェーズに御社のサービスが向いていますか?逆に、向いてない会社もありますか?
山口:アプリのフェーズとしては、本来はアプリのリリース期にある程度のプロモーションと共に行うことが最も重要だと考えています。理由は、Google Play・Apple 共にリリース直後のアプリが自然流入の面で優遇されていると私共は考えているためです。
ぼく:新着ランキングに入るからですか?
山口:それもありますが、他にもアルゴリズムの面で優遇されていると我々は分析しています。
ぼく:そうなんですね〜。ってことはそれだけ、比較的少ない費用でデータを集められるから有利ってことですね。
堂道:そうなります。また、ゲーム・非ゲーム問わずどうしてもユーザーの質が初期段階の方が良いので、そういったユーザーを囲うといった LTV 的な視点からも重要になってきます。
ぼく:リリースから時間がたったタイトルだと難しいんですか?
堂道:あくまで初期段階から導入した方がメリットが大きいということであって、リリース後でも対応や改善は十分可能です。実際そちらの需要の方が大きいので。
ぼく:アプリの寿命も伸びてますもんねぇ。
山口:また、広告費がゼロで ASO のみに頼ろうとする企業さんもいますが、そういう形よりむしろ、ASO を下地にしてプロモーションを行っていくことで、結果的にオーガニックユーザーを潤沢に獲得できるという良さがあります。
さすがにアプリ名は出せないけど過去事例...
ぼく:差し支えない範囲で、この施策がうまくいった事例と、その要因を教えてください。
堂道:例えば検索最適化の結果、CVR (転換率) が 20%→50% 以上、最終的にダウンロード件数も週次で 1 万ダウンロード増したアプリがあります。
ぼく:まじですか...!リバティーンズさんが入る前はどういう状態だったんですか?
堂道:関わらせていただく当初は、特定の 1 つのキーワードで 2~4 位前後にいただけの状態でした。そのため自然流入が増えずご相談いただいた経緯がありました。
ぼく:なるほど、やりごたえがありそうですね(笑)。どういうとこから手をつけたんですか?
堂道:例えばキーワード 1 つ 1 つも、「恐らくこれじゃないか?」という担当者の推定というか思い込みで選定されていただけで、決して根拠に基づいたものではありませんでした。
ぼく:そういうところ少なくなさそうですね。。
堂道:そこで、広告を運用しながら、キーワードの設計からアイコン・スクショその他の見直しのアドバイスなどを含め、徐々にチューニングを行っていきました。その結果、最もコンバージョン率が良いキーワード、有効な・有効でないキーワードの組み合わせ、など明確に定義しました。
山口:その結果、目的としたキーワード群ほぼ全てで上位に表示されるようになりました。特に、CVR が良いキーワードを抽出することで、ストア内で情報として何を推すかをデータドリブンで決められるようになるというのがポイントです。
ぼく:その施策が、先におっしゃっていた、週次でプラス 1 万ダウンロードという結果に繋がったわけですね。
堂道:また他の事例では、ASOを行うことにより、ユーザーの質の最大化が可能となり、インストール後の KPI が大きく改善した事例も多数あります。とても上手くいった例だと、課金率が 2 倍以上に改善して LTV が向上した、といったこともありました。
ぼく:え、なんでそんなことが。。。
堂道:検索型集客の特徴として、ご存知の方も多いかと思いますが、ユーザーの質があらゆる集客チャネルの中でも最上位クラスに位置するんですね。
ぼく:あぁ、もともとそのアプリを「探して」ダウンロードしにきてるユーザーだから...
堂道:はい、これは考えてみれば当然ですね。純粋に、本来アプローチすべきユーザーにリーチを行うという視点だけでも、課金率や継続率にプラスの変化を及ぼすことは容易に想像いただけるかと思います。
Apple と Google の検索広告それぞれについて
ぼく:それだけ重要なストア内検索なのですが、広告に絞っていうと Apple の search ad って米国はじめいくつかの国でしかまだ使えないですよね?
山口:現時点 (2017 年 12 月) では、アメリカなどの英語圏、メキシコ、スイスなど順次拡大されている様です。いつ日本で開始されるかはまだ不明の様です。恐らく日本語という独特な言語に対応するのに多少の時間を要するのだと考えていますが、そう遠くない将来導入されると考えております。
ぼく:御社でも運用実績あるんですよね?効果はやっぱり高いんですか?
山口:自社のアプリを含め、国内の事業者様の海外向けアプリも既に取り扱いさせていただております。広告効果は「やり方次第」といったところです。
ぼく:「すげーいいぜ」じゃないんですか?
山口:やはり単純に何気なく設定して運用を行うのではなく、根拠に基づいた運用手法とキーワード設定が必要です。更にこちらも ASO と組み合わせて行うことによりオーガニックの増加にも繋がります。今、国外向けに広告運用をお手伝いさせていただいているお客様にとっては、申し分ない結果が出ていると思っております。そのため日本でリリースされた際もお客様のお役に立てると思っております。
ぼく:逆に Google って、アプリプロモーションだと UAC (Universal App Campaign) しかできなくなったじゃないですか。御社に運用を任せると、ディスプレイ等も含めて全部お願いしないといけなくなるんですか?
堂道:基本的にはそうしていただいております。全て一本化にされたため、UAC を運用させていただく中で、検索広告部分についても最適化を行います。当然、他の代理店さんと同様、動画などのクリエイティブもお客様には無料で作成し、PDCA を回して、UAC 全体として見た場合も相対的に質の高いサービスを提供できていると考えております。
ぼく:検索広告とディスプレイ・動画広告等が別だったころと比べて、UAC になって出来なくなったこととかは無いんですか?
堂道:UAC に一本化されたことで、以前は把握できたキーワードごとの CVR などが把握しづらくなっています。しかし、我々は過去数年に遡ってこの事業を行っており、国内外問わず「この業態のこのアプリはこのキーワード」というのをかなりの精度で特定できています。こういった価値をお客様にご提供できるのも我々の強みになります。
ぼく:最低でもこれぐらい予算ないとやっても効果が見えにくい、みたいなラインってありますか?
堂道:アプリによりますが、約 50~100 万円/月、というところかと思います。あまりに予算規模が小さすぎると、何の情報も分からず終わるケースもあります。
ぼく:ありますねえ。AppLovin でもあります...。リバティーンズさんにお願いしようかどうかって迷ったとき、そもそも自分とこのアプリが ASO うまくやれてるかどうかを診断できる方法やツールってありますか?
山口:まず、ツールとしては存在していません。ASO の定義として、”広義の” ASO と “狭義の” ASO が存在しています。
ぼく:違いを教えてください。
山口:狭義的には、単純なキーワードのリーチと上昇など。広義としては、スクリーンショットやアプリページそのものも含めた CVR などを指します。もっと広義になると、アプリの内部にすら改善点が及ぶ場合もあります。
ぼく:なるほどなるほど。
山口:ここまで全て診断するとなるともはやツールでは対応できないため、我々の価値があると思っています。ツールはあくまで補助として活用され、その他を我々の様なサービスで補っていただければと思っています。
ぼく:キーワードごとの順位とか教えてくれるサービス、たとえば SearchMan とか MobileAction とかあるじゃないですか、あれの良し悪しとかってご存知ですか?
山口:個人的に SearchMan の方が使い勝手が良いかと思います。他のツールに比べて日本語にカスタマイズされているのと、API サービスなど、かなり遡って色々な情報が取得できる作りになっているので。サジェスト結果、トレンド検索の履歴など他ではない機能も提供しているようです。
ぼく:色んな情報を使って細かく運用しようというときに役立ちそうですね。
堂道:また、キーワードごとの順位を教えてくれるサービスの中には、日本のストアと異なっている順位を表示しちゃうサービスも多いです。そういった意味でもサービスインしてから長い間支持されているものを採用すべきだと思います。
ぼく:サービス・プロダクトが使われ続けてきているという実績が、クオリティを証明しているだろうと。
山口:創業者の柴田さんの知名度は今や鰻登りでもはや何も言う必要がないかと思いますが(笑)、国内事業者であれば SearchMan をオススメ致します。
決算が読めるようになるノート |
ぼく:なるほど、ありがとうございます。
最後に
ぼく:いろいろ話していただきましたが、こんなに喋っちゃって大丈夫ですか?
山口:まだまだお話していないメソッドはたくさんあるので、大丈夫ですよ。
ぼく:お客さんの中には、リバティーンズさんからノウハウを学んだあと、「これなら自分たちでも出来そうだ」って自立というか、離れていっちゃうこととかないんですか?
堂道:そういう方も中にはいらっしゃいますよ。でも、多くの方が戻ってこられます。
ぼく:なんで戻ってくるんですか?オペレーションが大変だからですか?
堂道:オペレーションの面もありますが、ノウハウのアップデートが必要という側面が大きいです。SEO と同様に、アプリ内検索においてもアルゴリズムやトレンドが変わり続けています。弊社はこの領域だけをやっているので当然キャッチアップも早く出来ますが、よほどリソースに余裕のあるところでないと、アプリ事業者自身が全ての変化についていくことは難しいと思います。
ぼく:確かにおっしゃる通りですね。いやぁ楽しかった、今日はどうもありがとうございました。またちょくちょくお話聞かせてください!
山口:はい、またアップデートお届けします!
こんなかんじです!
もしリバティーンズ社に ASO と検索広告運用をお願いしたい・相談したい方がいたら、ご紹介可能なので気軽にお声がけください (о´∀`о)
Q
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