2016/10/10

ロングインタビュー風!AppLovin 日本5人目のメンバーは雀鬼・谷やん

2 人目「まんでぃ」、4 人目「サニー」に引き続いて、この夏に AppLovin 東京オフィスに加入した新メンバー「谷やん」の紹介インタビュー!

参照: まんでぃ紹介記事サニー紹介記事

ちなみに前回 2 回はテキストで質問に答えてもらう形でしたが、今回はそれに加えていくつか口頭でもインタビューしています。
どこがテキストでどこが肉声かを想像しながら読むと、いっそう味わい深くなるかも!
(※なりません)





ぼく:よろしくお願いします!簡単に自己紹介をお願いします。

谷やん:谷中 亨 (あになか あきら) です。新卒で DeNA に入って 1 年半働いたあと、ワンオブゼムに転職、その後直近まではポッピンゲームズジャパンにいました。

ぼく:元々はエンジニアやってんよね?

谷やん:はい。DeNA では IP ゲームタイトルのエンジニアをやってて、途中からはエンジニアの育成・採用も担当しました。ワンオブゼムにもポッピンにもエンジニアとして入社して、新規ゲームの開発をしてました。

ぼく:ってことは大学でもソフトウェアエンジニアリングを専攻していた?

谷やん:いえ、京都大学の総合人間学部、経営管理大学院を出てます。

ぼく:え、文系?

谷やん:文系ですね。ちなみに入った時は工学部で、学部 1 年まで理系でしたw

ぼく:なんとw DeNA に入る前からエンジニア経験はあったの?

谷やん:ないです。っていうか、学生でエンジニア経験ある人ってほとんどいないですよ。

ぼく:えっ、学生でもコード書ける人はいるよね?

谷やん:コードは書けても、製品のコード書いたことあるひとの割合って少ないんですよ。なので僕も、周りに比べてめちゃくちゃ頑張ったとか、そういうわけではないです。

ぼく:なるほどね〜。でも次のワンオブゼムには、経験があるエンジニアとして採用されたんよね?

谷やん:はい。先に行ってたまんでぃに誘われて。

ぼく:なんで誘われたと思う?良いコードを書くから?

谷やん:コードは見たことなかったと思います。それはまんでぃに聞いてくださいよ。

ぼく:まんでぃと中継がつながっています。現場のまんでぃさん?なんでこんとき谷やんスカウトしたの?コードとかあんま見たことなかった、って谷やん言ってるんやけど。

東場のまんでぃさん

まんでぃ:匂いですかね(´ω`)

ぼく:うほっ?

まんでぃ:マジレスすると、コードを書く上ではベースとしての思考とか頭の良さが最も重要だと思うんですよね。後は、谷やんはコードそのものよりはプロダクトに興味があるタイプかなと思ったので。

ぼく:ふむ...なるほど。よくわかりました (わかってない)。

ぼく:で、AppLovin に入るまではずっとエンジニアだったの?

谷やん:いえ、ポッピンでは最初だけエンジニアやってましたが、そのあと秋葉原オフィス立ち上げ、採用統括、事業部長を担当してました。

ぼく:ほぉぉー。これウチの面接でも聞かれたと思うんやけど、なんでエンジニアやめちゃったん?

谷やん:自分より優秀なエンジニアを採用できて、やる必要がなくなったから、ですかね。

ぼく:元々エンジニアリングは好きじゃなかったってこと?

谷やん:好きですよ。でも休みの日とかはコード書かないですし、ごろごろするのよりプログラミングするほうが好きかっていうと、そこまでではないです。

ぼく:コード書くより、採用とか事業側のほうが楽しくなった...?

谷やん:っていうのでもないです。あまり仕事の内容にはこだわらないんです。

ぼく:んんん...じゃあなんで、仕事でコード書くのをやめたの?質問がループしている気がするw

谷やん:ビジネスを伸ばすために採用とか経営的な仕事が必要で、それをやれる人が少なくて、エンジニアリングは自分よりも出来る人がいたから、ですね。だから僕自身が採用や事業責任者が上手く出来るかっていうと、僕より上手く出来る人はいっぱいいると思います。

ぼく:だんだん理解できてきた!状況に合わせて必要な役割をやってきた、ってカンジなのかな。そうやって新しいことをどんどんやるのって、谷やん的には楽しい?

谷やん:ちょっとは楽しいです。でも、その前に、飽きるほど同じことをやり続けてたことがないんですよね。もっというと、厳密には「それまでとまったく同じ仕事」ってないと思うんで。

ぼく:確かに、状況とかゴールも変わるもんやしな。新しい職種をやるときにはこういうアプローチをとる、っていう型とかあったりする?

谷やん:アプローチ、というと?

ぼく:たとえば俺なら、その職種とか業界に詳しい人に最初ひたすら話を聞いて、全体像とか、成功のドライバーになるキモがどこなのかを把握するとこから始める。みたいなの。

谷やん:ぼく人に話を聞くのはあまり効率的じゃないと思ってるんで...最終的なゴールと、最低合格ラインを確認して、あとはそこを目指す、っていうかんじですね。

ぼく:最低合格ラインを最初に確認するのね。

谷やん:あとは、なるべくまわりの期待値を下げる。

ぼく:面白い。周りからの評価は、どういった意味合いで、どれぐらい重要?

谷やん:まずはクビにならないという意味で生活の安全、あと賃金をあげるためには重要ですよね。あとは仕事進めやすくするためにも大事だと思います。

ぼく:評価が高いほど仕事を進めやすいと。

谷やん:というかゼロイチだと思います。最低限の評価が無いと、まともに仕事を進められないので。

ぼく:最低限「あいつはマトモだよね」って評価されないといけないと。

谷やん:そうですね。でも「あいつマトモだよね」ってけっこう高い評価だと思わないですか?

ぼく:確かに「マトモだ」って思う人、あんまり多くないかも。

谷やん:そういう意味では高いとこ狙ってるんですよ。

高いとこ狙ってるんですよ。

ぼく:AppLovin を知ったきっかけは?

谷やん:ポッピンのときに、坂本さんとまんでぃから連絡をもらって、です。っていうか一緒に営業に来たじゃないですか。

ぼく:そーでした☆広告主としても媒体としても AppLovin を使ってたけど、使ってみてどうだった?

谷やん:いい製品だと思いました!

ぼく:正解。

谷やん:ただ、入ってみて思うのが、製品の性質をしっかり理解することが何より重要ですね。もちろん、製品についての質問はいつでも受け付けてますが、すでに出稿していただいているクライアントや代理店さんに、理解を深めてもらうえることを強く意識しています。

ぼく:なんで AppLovin に入ってもいいかなって思ったの?

谷やん:小さいチームであること、人、英語を使って仕事ができること、待遇、apply した順番、です。

ぼく:その順番に優先度高いの?

谷やん:この中だと apply した順番ってのが一番ですね。AppLovin の面接が始まったとき既に「受かったら AppLovin に来ます」って言ってたじゃないですか。

ぼく:言ってたね。

谷やん:実は AppLovin の選考中に、ちょっとだけお手伝いしていた別の会社から、良い条件でオファーを貰ったんですよ。でもその前に AppLovin に「受かったら行きます」って伝えてたので、そこは最優先で仁義・筋を通さないといけないなって。

ぼく:義理堅いのね。

谷やん:っていうか自分が筋を通さないと、周りにそれを期待できなくなるんですよね。不義理を許容しないといけなくなるし、文句が言えなくなる。それは僕としては NG なので。

ぼく:なるほど。小さいチームが良いっていうのは?

谷やん:人数が増えると、「合わない人」とも仕事しなくちゃいけない確率が上がるからです。あと本音をいうと、ただ大きいだけのチームはダサいって感じちゃいます。小さくてデカいことやったほうがカッコいいですね。かといって 1 人だけで続けるのは精神的にキツいので、チームは大事ですね。

ぼく:わかるわー。まぁその一方で俺は、組織を大きくするとか、大きい組織をマネージするとかやってる人に、自分が出来ないからこそ憧れる気持ちはあるけどね。人でいうと、AppLovin は良い人がいるって認めてもらったわけやねw

谷やん:あ、はい。

ぼく:どんな人が谷やん的にはイケてない人なの?

谷やん:生産性・時給が低い人です。

ぼく:わかる。能力が低いっていうよりは、自分のアウトプットと投下リソースを把握して、同じリソース使ったときにより大きなアウトプットを出そうと工夫する、もしくは同じアウトプット出すためになるべく少ないリソースで済まそうとする、っていう考え方が無い人は合わんよな。

谷やん:そうですね。そういう人がいると、麻雀でいうとノイズになるんですよね。


ぼく:の...ノイズ?

谷やん:ある程度上手い人の中にヘタな人がいると、その人の下家...あ、その人の次の順番の人が一番得して、他の 2 人は相対的に損するんですよ。だからその場が楽しくなりにくいんです。

ぼく:なるほど〜。こうやって聞いてても、別に仕事の内容とか、アドテクって業界自体に強い興味があった訳ではないのがわかるわ。逆にどういう基準で、仕事とか会社とか、次のステップを選ぶの?

谷やん:最終的に銀行に入ってくるお金と、かかる時間ですね。

ぼく:最終的に、ってところが意味深やね。今すぐ入ってくるお金ってだけじゃなくて、将来入ってくるお金の期待値の現在価値も含んでるってことね。

谷やん:はい。英語はそういう意味で投資対象です。20 年後やってないと死ぬ可能性がけっこうあるので。マーケティングってのも少しは投資的な意味合いがあります。


ぼく:そういう理由で AppLovin を選んだわけやけど、今のところはどう?会社としても、プロダクトとしても。

谷やん:入社前に色々話を聞かせてもらっていたのですが、思ってたとおりです。いい意味で。

ぼく:よかった。エンジニアやった経験・知識が今の仕事で活きてることってある?

谷やん:手作業を自動化できる、とかは当然ありますが、オペレーションでのミスが、エンジニアやってた人とそうじゃない人で結構変わると思います。

ぼく:どういうこと?エンジニアやったことある人はオペミスが少なくなる、ということ?

谷やん:そうです。他の職種の人は、ミスってもサービス止まったり、データ消えたりしませんが、エンジニアは。。。

ぼく:確かに、いちスタッフがそこまでリスクが高い作業を担うことは、非エンジニアではなかなか無いわな。


ぼく:仕事以外だと普段なにしてるの?趣味とかは?

谷やん:寝ることと、美味しいご飯を食べることと、麻雀打つことが好きです。

ぼく:今の時点で、将来どうなりたいとかある?

谷やん:雀力あげたいです

ぼく:どこを目指してんねん。


ぼく:最後に、元 DeNA 新卒同期、ワンオブゼムでの同僚、AppLovin でまた同僚に戻ったまんでぃに一言。

谷やん:特にないっす。まんでぃがいるから来たわけではない、ということを強調しておきます!




いかがでしょうか?
写真のバリエーションが少ない、という苦情は受け付けません。

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イベントのマネジメント、SNS・blog・日本語サイトの管理、PR エージェンシーとの協働、など「マーケティング + 広報」みたいな守備範囲です。
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自薦他薦問わないので、良い人がいたらぜひコンタクト下さい!
メンバー、雰囲気、環境、どれも胸張って自慢できます( ◠‿◠ )

なお、3 人目メンバーのインタビューはまだ行われていない...

Q

2016/10/02

ロングインタビュー!ADFULLY小室社長の新規事業にかける想いを聞いてきたよ

この夏 GREE 傘下の Glossom 社に買収された、スマホアプリ向け SSP「アドフリくん」を運営する ADFULLY。

 
社長の小室さんに、スマホ広告のこれからや、ADFULLY が手がける新規事業の狙いについて伺ったよ!

*+:。.。:+*゜・*:.。*+:。.。:+*゜●・*:.。.*+:。.。:+*゜○・*:.。.

小室:(店員さんに) このメニュー、卵は入ってますか?

ウェイトレス:マヨネーズ入ってるんですけど。

小室:マヨなら大丈夫です。

坂本:アレルギーですか?

小室:です。線引きが分かりづらいんで、あんまり言わないですけど。チャーハンの卵は大丈夫だけど、卵スープの卵はダメなんです。

坂本:違いがよくわからない、、、

小室:ショートケーキは大丈夫だけど、ガトーショコラはダメ。ハーゲンダッツだめだけど、「爽」は大丈夫。

坂本:ますますよくわからない。量が問題なんですか?調理方法?

小室:なんでしょう。質と量と、気合。ダメって思ったらダメなんですよ。でもおいしかったら、反応出てるけど、めっちゃ食ってるw(※良い子は絶対マネしないでね)

坂本:アレルギーって気合いで克服できるものでしたっけ?(※できません)

小室:僕は赤ちゃんのときに、離乳食でもうアレルギー反応が出たんですよ。で、ずっとダメだったんですけど、カップ麺の卵から慣らして、だんだんチャーハンの卵大丈夫になって。どんどん克服していってる。(※良い親も絶対マネしないでね)

坂本:アレルギーって、鍛えたら克服できるもんなんですか。不思議だ。(※できません)

小室:精神も大事ですね。うちの妹は、気が強いんですけど、卵食べられるんですよ。でも大人になってから検査したら、体質としては卵アレルギーだった。(※よくないね!)

坂本:まさかの精神論。アレルギーってそういうのとは違う気がしますけど…(※違います)

小室:だから、僕が卵ダメなのは気の弱さのせいです。(※個人の感想です)

気合いが足りないせいで卵アレルギー?

坂本:僕たちなんの話してるんですか?

小室:ここのお店、お茶が甘いですね。

坂本:ねぇ、なんの話ですか?

*+:。.。:+*゜・*:.。*+:。.。:+*゜●・*:.。.*+:。.。:+*゜○・*:.。.

小室:坂本さんっておいくつなんでしたっけ?

坂本:いま 30 で、もうすぐ 31 になります。
(※インタビュー時点。先日 31 になりました)

小室:(見た目より) 若いですよね。僕、今年 36 なんで。

坂本:逆に、小室さんは 36 には見えないですよね。

小室:見えないですよね。今朝も言われました。取引先の担当の方に名刺渡したら「え、社長さんですか?」と。「すいません、気づきませんで」って。


坂本:見た目だけじゃなくて雰囲気もすごい柔らかいですしね。

小室:社長だからって、オーラ出せるわけじゃないですからね。ザ・社長みたいなオーラ、たまには出してみたいですけどね。

坂本:出したいんですかw?小室さん、今のままがいい気がする。

小室:僕もそう思ってます。

*+:。.。:+*゜・*:.。*+:。.。:+*゜●・*:.。.*+:。.。:+*゜○・*:.。.

坂本:社長になられてどれぐらいですか?

小室:ADFULLY は 6 月登記なので、ちょうど 1 年です。営業開始は 8 月だったので、僕の中での 1 周年は 8 月なんですけど、登記からは丸 1 年です。

坂本:元々、寺島情報企画という会社で、そこから分社化して ADFULLY になったのが、去年ですね。

小室:アドフリくん自体は 2013 年 からやってたので、いま 3 年ちょっとですね。

坂本:スピンアウトする瞬間とか、どんな感じだったんですか?

小室:瞬間ですか。「スピンアウトするの?」「どうぞどうぞ」みたいな。

坂本:ダチョウ倶楽部ですか。

小室:でも、(寺島情報企画 社長の) 寺島は元々その気満々だったんですよ。今思うとアドフリくん作ったときから、おそらくそうだったんじゃないかなと。

坂本:そうだったんですか。

小室:寺島情報企画もこれまで、いろんな事業やってるんですよ。雑誌やって、ガラケーの CP (キャリア公式コンテンツプロバイダ) やって、アプリやって、次、広告事業。メディアの会社がアドテクの種を撒いたらなんかちょっと面白い芽が出てきて、寺島の畑の中にいるよりは、そこからもっと大きな畑に移してあげたほうが、その芽は伸びるんじゃないかって。で、スピンアウトしました。

坂本:他にも、事業をスピンアウトさせてたりするんですか?

小室:いや、今回が初めてです。テクノードはありますが、完全子会社なので。

坂本:Touch the Numbers など、ゲーム作っていらっしゃる会社ですね。

小室:はい。僕らは子会社じゃなくて、完全に切り離して、独立した会社だったんです。寺島の畑じゃなくて、違う畑に植えたほうがサービスとして大きく育つんじゃないかって、それで独立したら確かに伸びてきた。

坂本:面白い。寺島情報企画の子会社にしておかなかったというのは、会社としては全然別物にするぜー、みたいなそういう意図ですか?

小室:そうですね。独立当初から IPO や M&A も可能性として考えてましたし、完全に寺島情報企画の畑から出ないといけなかった。寺島情報企画の中では、僕もだいぶ色々な事業をやらせてもらいましたけど、独立した最初の頃はめちゃめちゃガクブルでしたよ。寺島情報企画の中は安定してるんで。

坂本:同じ事業やってても、それだけ違うものなんですね。

小室:でも、好きなことは独立させたほうがやりやすいだろう、という感覚はあるじゃないですか。

坂本:寺島情報企画自体は、何年ぐらいの会社でしたっけ?

小室:30年弱ですね。この業界の中では老舗ですよね。はじまりは、今の社長の寺島の父親が、音響設計の事務所として立ち上げたんですよ。確か設立年は昭和 63 年。

坂本:ぼくが昭和 60 年生まれなので、それよりちょっと若いぐらいですね。しかし変遷が面白い。ADFULLY がスピンアウトした瞬間は、メンバーはけっこう一緒について来られたんですか?

小室:寺島情報企画に残った人もいますが、ついて来た人が多かったですよ。そこから業務改善や利益率確保のために徐々に最適化をして、いまは 10人ぐらい。SSP って利益率が低いサービスなんですよね。

坂本:粗利の時点で、マックス 10~20% とか、その世界ですよね。

小室:だから、寺島情報企画でやってたときみたいには、甘えられないんです。そこは突き詰めていって、割と業務改善できるところがありました。

坂本:寺島情報企画時代は、事業としての黒字化や、利益伸ばせ、というプレッシャーはあんまりなかったんでしょうか?

小室:そういうプレッシャーは当然ありますし、期待も大きいんですけど、いわゆる営業会社みたいに、そこまでガツガツしてるものではなかったですね。


坂本:僕から見てても、アドフリくんは「短期的な売上求めてガチャガチャ頑張る」というよりは、「ちゃんといいもの作っていけば、長期的には選んでもらえるよね」みたいな、そういう雰囲気は感じてましたね。

小室:営業に関してもあんまりノルマがないから、ガツガツしてないですよ。「お前ら、何件取ってこい」となっちゃうと、嘘言ってでもお客さん引っ張ってきたりとか、あまりよくない方向に出ちゃうことがあるんでね。

坂本:そういうとこも、中にはありますからね。

小室:純粋に、無理なく接して、去る者は追わずぐらいの感じでやってました。

坂本:使いたいってデベロッパーさんがいても、入り口 (アカウント作成) のところで制限してましたもんね。今もですか?

小室:今も審査制にしてます。

坂本:どういう審査してるんですか?ビジネスの規模とかですか?

小室:規模も見ますが、どういうアプリを作ってるかとかも見ます。

坂本:かなりちゃんと見るんですね。

小室:ちゃんと開発の目と、営業の目と、一時期は寺島自身が見てたっていう時期もありました。結構厳しく見てて。

坂本:でも (SSP という事業は) 財務やキャッシュフローのリスクって基本的にないですよね?まずアドネットワークからアドフリくんに収益が入ってきて、そこからデベロッパーさんに渡すわけだから。

小室:あまりないです。けど、最低限のラインは保ちたい。

*+:。.。:+*゜・*:.。*+:。.。:+*゜●・*:.。.*+:。.。:+*゜○・*:.。.


ウェイトレス:お待たせいたしました。


小室:ハンバーガーでかい。

坂本:こういう専門店のハンバーガーって、そもそも食べ方からわからないですよね。普通に食べたら、これ、アゴ外れるよねっていう。

ウェイトレス:ケチャップとマスタードはこちらをお使いください。

*+:。.。:+*゜・*:.。*+:。.。:+*゜●・*:.。.*+:。.。:+*゜○・*:.。.


小室:以前は結構厳しく見てたし、今は審査の人数減らしてますけど、必要な審査はしてます。

坂本:通過率ってどれぐらいなんですか?

小室:とくに数字を正確にはとってはいないけど、結構厳しかったですね。

坂本:どういう理由で落ちてるんですか?

小室:開発実績がなくて一体どういうアプリを登録してくるのかがわからなかったり。あと、バナー枠でインプレッションがあまりにも少なすぎると、SSP を使うと逆に収益率が悪くなる場合があり、SSP のメリットが出ない事もあるから。そういう点を説明した上でお断りすることもありますね。

坂本:そういうところは、とりあえず AdMob 入れときゃいいんじゃないですか、みたいな。

小室:ほんとにそれぐらいの話をします。メディアの収益性ファーストで考えると、今は 1  社だけを使ったほうが収益性が高くなるから、って。もうちょっとボリューム出てきたらSSPの力を発揮できるから、その時にまた相談してください、っていう感じでお願いしてます。

坂本:凄いですね。普通に事業のことを考えると、何でもいいからインプレッション増やしたほうがよさそうなのに。

小室:逆にそれが信頼につながってると思っています。あと、逆に僕らのインプレッションを買う立場であるアドネットワークからは、アドフリくんのメディアはやっぱりコンバージョンいいねとか、CPC 平均は一番高いよ、とか言っていただけるので。

坂本:そういうのがあると、うちも含めてですけど、アドネットワークからしても、ちゃんといい案件とか流しやすいですよね。

小室:僕らが人数少ないので、きちんと見きれる範囲内で対応したいということもあります。

坂本:全部で 10~20 人って、競合他社と比べても少ないんですかね?他社さんの人数聞かれたりします?

小室:web 系 SSP は多いって聞きますね。他のアプリの SSP も、たぶんうちよりも人数は多いと思います。

坂本:(このポテサラめっちゃ美味い。) 御社内で、今後拡充していきたい役割とか部署ってありますか?

小室:ありますよ。いま、広告代理事業をやろうとしてるんですよ、以前ちょっとお話したと思うんですが。

坂本:先日リリース出されてた「FooPro」ですね。

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関連リンク : 【株式会社ADFULLY】日本食糧新聞社と食品界に特化したインターネット広告配信サービス「FooPro」を提供開始


小室:業界紙ってあるじゃないですか。例えば食品業界だと、メーカーやレストランが、毎月とってる新聞があるんです。食品業界の新商品や、冷蔵庫みたいな業務機器の新製品が出てきたとか、ピザの窯が小さくなりましたとか、そういうニュースを扱ってる業界新聞があって。

坂本:その業界にいない人はなかなか目にすることがないニュースですね。

小室:先日、そこの最大手である日本食糧新聞社さんと組んで、食品メーカーや飲食店の中小企業を広告主とした新事業を立ち上げました。業界紙が広告代理店として提案営業し、配信先を我々が運用するというモデルです。

坂本:えらくとんがってますね。出し先は御社が持ってるアプリのトラフィックですか?

小室:僕らが持ってるアプリ在庫に加えて、fluct さんと提携してウェブメディア、UUUMさんと提携して YouTuber 広告も出来ます。

坂本:もう案件とか問い合わせはきてます?

小室:業界によってはもう見積もりもかなり出してますよ。中小企業の多くは、まだまだはネット広告を積極的に打てていないんで。理解を深めるためにネット広告セミナーを日本食糧新聞さんと協力して開催したりとか。

坂本:結構、人、集まるんですか?

小室:以前 、同社が主催するFABEX という、東京ビッグサイトであった食のイベントでは、最後のほうはブース満員になるまで集まりましたね。

坂本:一部を除くと、そういう業界の方って、デジタル方面興味あるけど、いまいちわからないからやってない、みたいな世界ですよね。

小室:そんなかんじですね。BtoB は既にけっこうやられていて、FABEX みたいな展示会に出たり、業界紙に広告を出したりとか、そのぐらい。BtoC の広告まであまりできていない。

坂本:具体的にはどういう会社が Consumer 向けに宣伝したいって思ってるんですか?

小室:需要があると思っているのは、食品メーカーとか飲料メーカーの新商品ですね。年間に数万個ぐらいあるんですよ。それ 1 個 1 個宣伝して、小売店に棚に置いてもらわないといけないから、そこは確実にプロモーションのニーズがあります。

坂本:B 向け、卸や小売には PR してるけど、消費者に直接プロモーションはやってないってことですね。確かに今まで B 向けの PR しかやらずに育ってきた人たちは、ユーザー向けにやれって言われてもわかんないですね。

小室:そうですね。

坂本:以前 PR について勉強してたとき教えてもらったんですが、昔はプレスリリースってメディア向けに行うものだったんですよ。でも今は結構プレスリリース自体が、内容によっては SNS バズったりして、直接ユーザーに見られるじゃないですか。だから、業界の人がわかればいいやじゃなくて、ちゃんとユーザーが見て面白いと思うようなPRにしないとダメなんですよと。

小室:それはありますね。結局、食品メーカーとか中小企業も、BtoB の広告を出してますが、最終的に C に買ってもらいたいわけですから。だったら、ウェブやスマホアプリでダイレクトにCに向けて広告しちゃおうよ、っていうのが今回の取り組みのポイントです。

坂本:C 向けのプロモーションってそれこそ小売側がやるようなイメージなんですが、メーカー側がやる必要ってあるんですか?

小室:メーカーがやる目的は大きく 3 つあります。1 つは、EC をやってる場合であれば直接販売。2 つ目は商品の認知。そして 3 つ目が配荷 (はいか) です。

坂本:ハイカ?初めて聞きました。

小室:「小売店に棚を置いてもらうプロモーション」のことです。新商品ってものすごい数出てるので、例えばコンビニで棚を割り当ててもらうこと自体が大変なわけです。そのとき、どれぐらいプロモーションしてるかによって棚の割り当て数が変わってきたりするんです。

坂本:へー、そんなのあるんですか。

小室:棚に置かないと売れないし、棚に置くにはある程度のプロモ―ションしないといけない。それが配荷です。そのあと売れて評判が良ければもっと棚を割いてもらえますが、まずはある程度認知されるようなプロモーションが必要。

坂本:なるほど。

小室:そのためのプロモーションだったら、プロモーション費用をかけるんですよ。費用対効果の計算もしやすいですしね。ある小売店の棚を何枠おさえて、そこで 2 ダースの箱を 2 個置いたときに、単価がこれだから、全部まわったら売上これ、広告にかけられるのはこのくらい、という計算ができるから。


坂本:そこでいうと、今までやってたアドフリくん事業とは、ガラッと違うじゃないですか。お客さんも違うし。勝算ってあるんですか?これが出来るからうちはイケるな、なのか、単純にマーケットがでかいから、2~3 社参入してきても普通にいけるだろう、という読みなのか。

小室:マーケットも大きいですし、「チャレンジ」というのが一番核にあります。ただ、ブルーオーシャンは確実にそこにありますね。その上で、成功の確率上げるために、ADFULLY だけではなく外と組む。餅は餅屋で、PC や YouTube はずっと専門でやってる会社とアライアンスを組む。中小企業へのリーチというところは、すでに信頼と実績のある業界紙にお願いする。成功率は高いんじゃないかと思います。

坂本:全部自力でやろうと思ったら、どれだけ人員いるんだ、って話ですもんね。

小室:自力では出来ないです。一番の課題としては、中小企業のネット広告への理解。業界紙さんも BtoC のネット(アプリ)広告に関しては新しい取り組みになるので、その部分の啓発というところかな。

坂本:なるほど。

小室:あとはどういう広告商品が売れるのかを見ながら、商品構成を作っていかないといけないから、そこもやりながらプロダクト・サービスとして磨いていく。それれで歯車がバチンとあうと、すごく大きな市場。食品と飲料を合わせて、5~6 千億円の広告市場。

坂本:ADFULLY の立ち位置としては、まずスキームを作るところと、そのスキームの中では一番非ネット側に近いところで啓発とかするところ、最後にモバイルアプリ面への配信ってところですね。

小室:そうですね。僕らも、7,000 アプリ以上と、多くのBtoC メディアに導入してもらっているから、それを別の形でビジネスにつなげられたら、アドフリくんを使っているメディアも幸せになる。

坂本:すぐその世界が来るかどうかわからないですけど、今までモバイルって視野にも入ってなかったようなところが、モバイルに広告出し始めたら、結構でかいですね。

小室:ほんとチャレンジですね。業界のキーマンと組めているし。大切に、1~2 年先とか見ていって。中小企業にネット広告が当たり前のように広まってくれればいいなと。

坂本:先行投資ですね。

小室:はい。ただ人数も少ないですし、最初はパートナーの協力を大いに得ながらスタートしています。代理店事業って、人件費がけっこう大きいと思うんですが、その部分を業界紙さんに協力してもらってます。プランニングに関しては僕らが取りまとめますけど、WEB 広告の部分は fluct さん、YouTuber の部分は UUUM さん。そのうち、コンサルティングというところでは、もっと人手が必要になると思っています。

坂本:なるほど、賢いですね~。

小室:僕らはあんまり、表に出ないようにしてるんですよ。特に中小企業に対しては。いきなり「アドフリです」っていってもわかんないし、ネット企業ですっていっても身構えられてしまうから。フロントに立つのは信頼と実績の業界紙さんが良いと思ってます。

坂本:業界紙というのは、1 紙?いっぱいいるんですか?

小室:いっぱいあります。各業界の何社かと並行して進めていて、基本的にはその分野の最大手に話を持っていって、いくつか契約進めている所です。

坂本:けっこう業界紙側からの反応が良いんですね。

小室:業界紙もやはりネットには注目しているんですよ。業界紙って基本的には BtoB の広告を専門としているから、BtoC にあまり参入出来てないですよね。でも自分たちだけじゃノウハウが足りない。だから今回のスキームは業界紙にとっても大きなメリットなんですよ。

坂本:なるほどね~。

小室:業界紙って紙媒体だから、今後はネットにももっと注力しないとって思ってる現場の方はいると思う。でも具体的に何していいかは模索中だし、ノウハウもあまりない、というときに、BtoC のアプリのメディアをたくさん持ってる我々が「一緒にやろうよ」と。タイミングも良かったですね。

坂本:よくそこに目をつけましたよね。

小室:僕らの監査役の 65 歳の方が提案してくれたんですよ。その方はいろんなメーカーを経験してて、ビジネスモデルを作るのも上手で、このブルーオーシャンも教えてくれたんですよ。

坂本:ほぉー。

小室:広告費もかけてる、けど BtoC には出せてない。Google も Facebook もほんとは中小企業を狙ってるんだと思うのですが、使う側がリテラシーなかったりして使えてない。Google, Facebook も費用対効果を考えると中小企業を細かくコンサルしたりサポートするとこまでは出来ない。

坂本:確かに。

小室:業界紙だと、一緒に組む日本食糧新聞さんは、9 万 5 千部刷ってるんです。それだけの店舗やディシジョンメイカーに、すでにリーチがある。だからそのルートを使えば、ちゃんとそういう人たち 1 人 1 人に届けられる。あとはどれだけそれぞれのキーマンが本気で動くか。

坂本:でも逆に、そういうところと組むのって、大変じゃなかったですか?

小室:はい。1 社と組むだけでも数カ月かかりました。ネットに対する理解に差があったり、中にはアレルギーを示す人もいると思います。伝統のある会社だし、ずっと紙でやってきたし。なので、1 人 1 人説得していって、なんとか信頼を得て、よく話し合い重ねながらやってきました。

坂本:小室さんは社長なんで、両方見られてると思うんですけど、SSP やるチームと代理店事業やるチーム、みたいに分かれちゃってる感じですか?

小室:いちおう専任担当はいますけど、人数少ないんで兼務してもらってます。代理店チームは、今までのアドフリくんのメンバーでもできるようなスキームにしてます。広告主への提案は基本的には業界紙さんがやる。メディア側の提案書も、僕らのアプリの分だったら僕らが作るけど、ウェブの分は fluct、YouTuber は UUUMに手伝ってもらう。それをうちがまとめてプランを作る。

坂本:アディショナルに凄いオペレーションやコストが発生するというものではないと。

小室:今のところはそうです。発注の数が何百社ってなったら大変になりますが、それは嬉しい状況ですね。今テスト段階ですし、回し始めたばかりなので、優秀な担当がほぼ 1 人で対応してくれています。


坂本:まだ始めたばっかりでわかんないと思うんですけど、ADFULLY としては、どこに向かっていくんですかね。

小室:この事業に関しては、中小企業にネット広告を広めるのが主目的なんですけど、実はそれで配信した広告って、アプリメディアに対しても高単価で返ってくると思っているわけですよ。効果が合えば普通のバナー枠で もeCPM 数百円もあり得ると思っています。最終的に、僕らが抱えてるメディアに対しても、高い収益を戻せるようになる。

坂本:それは実現できたら凄い世界ですね。バナーとか、基本的に価格に下方圧力しかかかってないですもんね。

小室:そういう意味では、もう一個注力しているアプリ内課金支援の事業も、僕らのアプリメディアの広告収益に還元できるようなビジネスモデルにしてます。アドだけにこだわらず、課金の導入支援も行なってメディアの収益性を上げていく。その結果、課金者を抱えるカジュアルアプリが増えて、アプリの広告媒体としての価値も高まっていく。

坂本:なるほど。その中でいうと、アドフリくんがアプリに強いっていうのは大きいですね。

小室:おかげさまで、アプリに特化しているっていうのが鍵となってます。それは業界紙に話を持っていくフックにもなっているし、業界紙が中小企業に提案するときのフックにもなるし。アプリの利用率ってすごく増えてるじゃないですか、特に若者の。

坂本:ウェブもだんだん使わなくなってきてますしね。

小室:でもアプリの中のターゲティングの技術ってまだウェブほどではない。なので細かくデモグラとか位置情報でターゲティングしたいってなったらウェブ面も必要になってくるし、中小企業が今までやってた雑誌広告みたいに形が残る広告をやりたければ、ウェブとかアプリのバナー広告よりは、YouTube広告 のほうが近い。

坂本:アプリのターゲティングももっと洗練されてきて欲しいですけどね。

小室:だから、アプリおさえてるのはもちろん大事なんだけど、ウェブも YouTube も大事だってことに気づいて、早期に他社にも声をかけて、一緒にやろうよっていって。今、ウェブ・アプリ・YouTube 出せないとこないぜ、ぐらいの感じでメディア側は用意している。それを業界紙に託して、僕らがリーチできない中小企業の隅々まで販売してもらう。

坂本:なるほど。日本食糧新聞との取り組みはリリース出てましたが、他も順次リリースされていく形ですか?

小室:その予定です。大きくて伝統のある会社さん相手なので、細かいとこの認識合わせなど結構大変ですけど、そこは人間対人間でやっていくしかないですね。

坂本:でも逆にそういうところだと、実績とか事例が出てきてからは一気に動く可能性もありますよね。

小室:はい、実績を僕らが作って、中小向けのプロモーションのパッケージ出していけると良いなと思っています。テレビの認知がこれぐらいで、ウェブの場合はこれぐらい、出したら同じぐらいの認知になって、配荷にこれぐらい効きます、ってデータまで出せたら最高です。新商品ってほんとにいっぱいあるので、日の目を見ないものも結構あるんですよ。

坂本:FABEXではそういうのも見られたんですか?

小室:いっぱいありますよ。例えば、味付けのりあるじゃないですか。あれのとろろ昆布バージョン。とろろ昆布のペーパー版みたいなのって言ったほうが分かるかな。味付けとろろ昆布。ごはんに合って滅茶苦茶うまい。150個買いました。

みきや海苔店

坂本:買いすぎでしょ(笑)

小室:ほんと、マツコとかが取り上げたら、一気にバズるぜっていうぐらい。

坂本:YouTuber の食レポとか、合いそうですね。

小室:絶対合う。あと面白かったのが「伯方の塩」とか。結構新商品出してるんです。知らないでしょ。



坂本:は・か・た・の・しお!のやつですよね。知らないなぁ…

小室:フルール・ド・セルっていって、塩の結晶が雪みたいになってる、ちょっとフランスぽいやつとか。昨今の減塩ブームは塩業界には逆風みたいで、いろんなところにプロモーション出してるし、塩を使った新しいレシピとか提案してるんですよ。例えばその場で見たのは、塩コーヒー。

坂本:えぇー…絶対それ、砂糖と間違って入れちゃったやつじゃないですか。

小室:いやほんとに、塩入れたら、角が立たずにちょっとまろやかになるんですよ。そういう新レシピをきっかけに、塩を改めて認知させようということを考えてる。こういうのって YouTuber すごい合うじゃないですか。

坂本:「飲んでみた」とか。

小室:そんなかんじです。だから、やれることいっぱいあるんだけど、そこをつなぐ役割の人が少なかったと思うんですよね。そこをやっていきたい。

坂本:そうなんですよね。これだけ情報化って言われてるのに不思議なんですけど、いまだに、この人とこの人会ったほうがいいんだろうって人がなかなか会わないって状況多いです。会社同士もそう。YouTuber を斡旋する UUUM とか iCON CAST とかって、ネタになりそうなプロダクト持ってるとこは絶対使ったほうが良いと思うんですよね。でもなんか、業界的に遠いからなのか何なのか、うまく繋がってない気がします。

小室:わかります。それこそ Facebook も Googleのような素晴らしい広告サービスも、リテラシーが必ずしも高くない人や、中小企業に届ける人っていうのが必要だと思うんですよ。でも両社、そこまで細かくは中小企業の面倒を見れないんじゃないかって気がします。

坂本:元・中の人としては少し悲しいですが、やっぱり効率とかも考えるとそうなっちゃうのは否めないですね。

小室:中小企業のなかには、雑誌などの紙媒体だけで売ってるところもありますし。やり方は色々考えてるんですが、そういう企業にネット広告を広めて、ほんとにいい手段だよ、ということを伝えていきたい。ちょっとだけ大きいこと言っちゃうと、そこさえしっかりとカバーできれば、もしかしたらその領域だけは Google にだって負けないかもしれない。

坂本:ポテンシャルは大きいですよね。

小室:僕だけではその発想にならなかったですけど、タイミングよく監査役の方が、メーカーに詳しくかったりとかして。あと、僕らの価値ってやっぱりたくさんのアプリデベロッパーさんがアドフリくんを使ってくれてること、その繋がりが価値だと思っているんですね。なのでその繋がりを、違うビジネスにもグッともっていくことができたら、というのが今回のチャレンジです。

坂本:SSP ってどうしても単体では利益率低いし、一般的に考えたら営業じゃなくセルフサーブで売らなきゃ成り立たないサービスじゃないですか。でも、各社さんサービスの「中の人」とか「顔」とか特徴みたいなのが、みなさん割と際立ってるし、デベロッパーさんもわかって使ってるとこありますよね。

小室:はい、そこが僕らの強みだとおもってます。SSP って、正直つながってるネットワークも似たり寄ったりだし、プロダクトでの差別化ってどんどん難しくなってきてる。

坂本:最適化のロジックよくして何パーセント改善しました、管理画面が見やすくなりました、ぐらいの世界。

小室:だから僕らって、広告フォーマットでも一番メディアの売上にインパクトするフォーマットを優先的にリリースしてきたし、管理画面とか、開発サポートとか広告枠のコンサルとか、そういうユーザーとの接点になる部分は特に注力して対応してる。デベロッパーさんからの信頼がアドフリの一番の価値なので、そういったサービスクオリティは大切にしたいんですが、一番はやっぱり収益性で返さなきゃダメだと。

坂本:今のお話でいうと、代理店事業もうまくまわりはじめたら、メディアの収益性にも返ってくるという話ですよね。

小室:はい。別でやってるアプリ内課金支援も、結論としてはメディアの広告収益性として返ってくるという思いをもってやっている。

坂本:課金は、調子どうですか?導入進んでますか?

小室:ボチボチです。カイトさんと共同でセミナーを開催したりしてます。「広告と課金の標準実装」を目指してますが、これも 1 年かけて啓発していって、ネオカジュアルなのかスーパーカジュアルなのか、もっと国内からたくさんハイブリッドアプリが出てくるといいなと思ってます。

坂本:多少はやっぱ時間かかりますよね。課金のノウハウもデベロッパーさん自身が勉強しないといけないし。

小室:お付き合いのある個人のデベロッパーさんからたまに、「個人開発を一旦ストップして就職します」っていう連絡を頂くんですが、そのたびに思うのが、アドフリくんって業界的にはかなり認知されるようになったけど、この人たちをまだまだ幸せにできてないのかな、と思うところもあって。だから、アドフリくんだけ (SSPサービスだけ) にこだわっているだけじゃダメだなと。

坂本:特に昨今ますます厳しくなってますもんね。

小室:中小のアプリ開発者が、大手企業に勝つまではいかないけど、同じようにプロモーション施策が打てて、アプリビジネスとして長く続けられるようにサポートをしたい。そう考えたときに、もっと中小のアプリ開発者のLTVを根本的に上げる方法はなかろうかと。じゃあ、広告だけじゃなくて、課金まで提供しましょう、となったわけです。

坂本:なるほど。

小室:課金と広告の標準実装が進んで、カジュアルアプリがガンガンプロモーションを打てる世の中にできたら一番いいな。

坂本:そこからニーズが出てきたら、トラッキングとかプロモーションとかも提供してもいいかもしれないですね。

小室:管理画面なんかは、今、カイトさんの itemstore の課金レポートも見れるようにしてるんですよ。例えばその中に、アナリティクスサービスやマーケティングサービスを行われている企業と組んでもっといろんな情報も見れるように出来たらなぁとか。

坂本:面白い。総合的な BI ツールになりますね。

小室:課金とアプリの広告マネタイズが両方見られて、プロモーションも見られて、他のマーケティング要素も見られて、というふうになってきたらいいな。そこは例えばトラッキング SDK は僕らが作るんじゃなくて他社とアライアンスを組んだり、という方向ですね。

坂本:その構想、面白いですね。

小室:デベロッパーさんはもちろん嬉しいし、うちの会社としても SSP だけをやるより幅が広がるし。みんな幸せになると思うんですよね。そういうところにスポットライト当ててる会社って少ないから、僕らがいろいろな形で頑張っていきたい。

坂本:でも課金とかトラッキングとかも扱い始めると、地味に技術サポートとか大変じゃないですか?

小室:そこはアライアンスです。課金に関してはカイトさんが SDKを提供して専用サポートまで行なっているので、僕らはとにかく営業にフォーカスをしてます。

坂本:なるほど、餅は餅屋ですね。

小室:あと派生的なところだと、課金者の情報、といっても個人情報ではなく IDFA を集められるってところも大きいかなと思ってて。それができれば今度は食品業界じゃなくて、アプリ広告主に向けてもサービスが提供できるんですよ。高額課金者ターゲティング、みたいな。

坂本:どこかで課金経験のある人にしか配信しませんよ、みたいな。その一点突破だったら今から参入しても売れそうですね。

小室:オーディエンス拡張とか色々使い道もありますしね。だから、課金って広告マネタイズをブーストさせるんですよ。

坂本:いいですね。気合いの営業で売上伸ばします、じゃなくて、長期的にはこうしたほうが全体としてレベルが上がるよね、という手を打ってるのが、もう素敵ですね。

小室:社長の仕事はそうなんだなって教わったんですよ。現場だけぐるぐる回ってるだけじゃダメで。最初に切り開かないといけないところは手足を動かすんですが、ビジネスモデルを組み立てて、こういうところを目指しましょうという旗を立てて。それで、ありがたいことにみんなはついてきてくれてます。


坂本:今ちょっとケーラ (経営者オーラ) 見えました。

小室:あとは SSP としての本流も見失ってません。今すごいことを考えていて。今年中にアプリ向け SSP の進化形を見せられるといいな。いま頑張って開発してます。

坂本:言えるタイミングになったら、ぜひ教えてください。

小室:これはかなり大きいビジネスになる可能性があります。大きい流れとして、ゲームの広告 3 点セットって、バナー、インターステイシャル、動画リワードじゃないですか。

坂本:ネイティブとかもありますけど、一般的にはその 3 つですね。

小室:で、特に動画リワードが流行ってから、アプリが広告の入れ方を根本的に変えないといけなくなってるんですよ。今までのバナーのノウハウだけじゃダメだって。その波が、またさらに来年くると思う。

坂本:難しい時代ですけど、個人的には楽しいですね。

小室:ぼくらも大きな資本の中に入ったので、そこはしっかり腰を据えてやっていきます。配信ロジックや裏側のテクノロジーも含めて、プロダクトを改善してもっともっとアドテクとして進化していきたいなって思ってます。やりたいこといっぱい。

坂本:楽しみですね!またぜひ、スピンアウトしてから今までの苦労話とか聞かせてください。

小室:本当に色々あって大変でしたよ!とってもいい経験になりましたけどね。まずは足元しっかり伸ばして、買収されて良かったね、成功だったね、って胸はって言えるようになったら、ぜひインタビューお願いします。

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インタビューで使ったお店はこちら!

スモークハウス (SMOKE HOUSE)
ー東京初、本格BBQを堪能できるレストランー
天王洲T.Y.HARBOR Breweryでつくるクラフトビールと本格BBQを楽しめるSMOKEHOUSE。ヒッコリーチップを使い、低音でゆっくり(Low & Slow!)と時間をかけてスモークした肉やハンバーガー、サンドイッチのほか、日本ではめずらしいクラフトスピリッツのラインナップも充実しています。
住所: 東京都渋谷区神宮前5−17−13

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