2016/06/16

【前編】開発者インタビュー!大ヒット「昭和駄菓子屋物語2」GAGEX & 2D Fantasista

一部クラスタから人気を博している「アプリ開発者インタビュー」シリーズ、今回は『もっと心にしみる育成ゲーム「昭和駄菓子屋物語2」』(以下「駄菓子2」) パブリッシャの GAGEX (ガジェックス) の井村さんと、デベロッパの 2D Fantasista (ツーディ ファンタジスタ) の (渡辺) まさおさんに、AppLovin オフィスにお越しいただき、お話を伺ったよ!

この記事は前後編の前編です。
後編はこちらをチェック!



坂本:まずは会社紹介・自己紹介・好きな銀英伝キャラをお願いします!

井村:GAGEX 代表の井村です。2011 年に会社を設立して、その前までもゲームの会社でエンジニアとかプロデューサをやってました。好きな銀英伝キャラはウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツで、超地味で堅実なのに作中 3 番目くらいに強いというシブさに憧れます。

60歳近くまで、わしは失敗を恐れる生き方をしてきた。そうではない生き方もあることが、ようやくわかってきたのでな、それを教えてくれた人たちに、恩なり借りなり、返さねばなるまい

渡辺:1 番でも 2 番でもなく 3 番目くらいというのがいいですね。

井村:次点はオーベルシュタインです。

坂本:おぉ、ぼくは実は 1 番好きなのオーベルシュタインです!

渡辺:死に方がいいですね、オーベルシュタイン。

光には常に影が付き従う。光が陰れば影もまた・・・

坂本:じゃあ、まさおさんお願いします。

渡辺:2D Fantasista 代表の渡辺まさおです。GAGEX さんみたいな外の会社と組んでゲームを開発したり、自社でオリジナルタイトル出したりしてます。好きな銀英伝キャラはビッテンフェルトで、快進撃か壊滅的ダメージかどちらかなのが潔いなぁと。

進め!進め!勝利の女神はお前らに 下着をちらつかせているぞ!

坂本:性格出ますねぇ。会社名はマンガのファンタジスタからですか?

渡辺:そうです、個のプレゼンスが証明されステラが繋がってる感じのアレです。



坂本:ぼくステラは余り好きくないんですよね...。合宿でファン・ハーレン監督に色々教わって覚醒していくあたりが好きでした。

駄菓子2の現状


坂本:駄菓子2、AppLovin の数字を見てる限りですとかなり調子良さそうですが、今どんな状況ですか?

井村:先日 100 万 DL 突破のプレスリリースを出しましたが、今は (2016 年 5 月末時点) 120万DL ぐらいです。日本より海外のほうが多くダウンロードされてますね。

もっと心にしみる育成ゲーム「昭和駄菓子屋物語2」 (iOS | Android)

坂本:こないだ中国の App Store でオススメゲームに選ばれてましたよね。

井村:はい、おかげさまで中国 App Store では無料アドベンチャーと無料シミュレーションで 1 位になりました。そこのインパクトは大きいですね。


渡辺:さすが、キングダムの国ですよ。日本人の 10 倍いますからね。そりゃ始皇帝も頑張りますよ。


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坂本:日本で 10 万ダウンロードと同じぐらいのインパクトが、中国だと 100 万ダウンロードってことですもんね。

井村:あと、実は内容とかよりも、頻繁に書かれているのが「広告が良い」っていうコメントですね。

広告の話


井村:実は動画リワード広告だけじゃなく、インタースティシャル (全画面) 広告も出した時に「ちょっとだけゲーム内通貨あげる」っていうのやってるんですよ。ちょこっとだけですけど。

坂本:面白いですね、その入れ方は初めて聞きました。どれぐらい報酬あげてるんですか?

井村:動画リワード広告と比べると桁違いに少なくて、100 分の 1 ぐらいです。ホントに気持ちだけ。

渡辺:実は AdVenture Capitalist! ってゲームでやってるのを見て、GAGEX さんに提案したんですよ。

AdVenture Capitalist! (iOS | Android)

渡辺:インタースティシャルってどうしても、ゲームと離れてるって感覚もあるし、レビューが荒れやすくなるじゃないですか。なんとか少しでも抑えられないかなって思ってて。その時に、坂本さんから教えてもらった AdVenture Capitalist! で遊んでたら、インタースティシャル閉じた時に報酬がもらえて、これいい!ってなって。

坂本:そしたらまったく荒れないどころか、「広告が良い」ってコメントが?

渡辺:荒れないですね。新しい広告だ、もっと見たい、みたいなコメントが目立ちました。

広告について深堀ってみた


坂本:広告で入れてるのは、インタースティシャルと動画リワードとバナー。前作から変えたところでいうと、動画リワード広告を入れたってぐらいですか。前作の頃はなかったですもんね、市場に。

井村:無かったです。なので、変えたのはそれぐらいですね。

坂本:収益の内訳でいうと、動画リワードが一番大きいかんじですか?

井村:売上の内訳で言うと、動画リワードが大きいですね。バナー:インタースティシャル:動画リワードが 2 : 2 : 6 ぐらい、ざっくり。

坂本:おー。動画リワードでかいですね。。

井村:中国のユーザー数が大きいんですが、eCPM もすごい高くて。バナーは国内と中国とではかなり差が大きいことを考えると、動画リワードはほとんど差がないんですよ。大丈夫なのかなって。出しちゃいけない広告出てた、みたいな(笑)

坂本:そこは心配ないですよ(笑)。使ってるアドネットワークは AppLovin、UnityAds、Chartboost でしたよね。ただメディエーションを入れてないんですよね。

井村:そうですね。Frequency cap をかけて多少インプレッションの割合は重み付けしてはいますが、最初にどの広告が出るかは、厳選な協議の結果決めるみたいな...。要するにランダムです。

坂本:収益的にはその 3 社でどんなかんじですか?

井村:それぞれに強みがあって。eCPM としては AppLovin に優位性があります。あとは eCPM も売上もなかなか下がらなくて、いちばん安定してますね。


坂本:ありがとうございます!

井村:みなさん入れたほうがいいと思います。

坂本:太字にしときます。

井村:Chartboost は「ディレクトディール」という、広告主とメディアで直接取引する機能があって、ときおり優れた CPI 案件の直接取引があり、AppLovin に迫るときがあります。UnityAds は収益性は若干落ちるものの、frequency cap が緩く imp が大きいので、売上には貢献するといったかたちです。

坂本:メディエーションを入れなかったのは、とりあえず入れて出しちゃうか、みたいなノリで出されたかんじですか?

井村:とにかくやってみないと、数字もあまり溜まんないんでね。実装のコストとかを考えるよりも、まずやってみて、やっぱりどうやっても最適化しないとロスが大きいと思ったら、そこからバージョンアップしてもまあいいだろうとは思ってましたし。

渡辺:あと、あの頃まだ AdMob の動画メディエーションもなかったんで。

坂本:Fyber, Supersonic みたいな海外ツールはありましたけどね。

井村:Fyber は坂本さんが作られてた資料も見て、検討はしましたよ。でも AdMob もβ版としてはあるって聞いてて、先々それを入れるなら、焦ってよく分からないツールを頑張って入れたりしなくてもいいやと。

坂本:なるほど。AdMob 自体は動画リワード広告フォーマットをサポートしてないのに、メディエーションだけ無料でやらせてくれるって、太っ腹ですよね。

参照: Unity を使って AdMob メディエーションに AppLovin 動画リワード広告を実装する方法 (日本語)

井村:なんか、腹に一物ある言い方。

坂本:いやいやいや、ホントにあれはすごいなと。

渡辺:AdMob も動画リワードで出せるようになるのかな、とかいろいろ勘繰っちゃいますね。出るようになるなら全然大歓迎なんですけど。

坂本:ちなみに AdStir や Adfurikun みたいな SSP にしないのは、頑張ればまさおさんが自力で実装できるのに、手数料が取られるからですか?

井村:頑張ったら自前でできるっていうこともありますが、大きいのは 1 SDK で出来るバナーと違って、動画リワードの時は、結局 SDK を全アドネットワーク分入れないといけないってところです。バナーの場合は、お付き合いのないアドネットワークも含めて、1 SDK で出せるメリットは大きいと思うんですよ。

坂本:なるほど。SSP っていっても、複数社の SDK をバンドルしてるだけですしね。

井村:動画リワードはそんな急にアドネットワーク増えないと思いますし。バナーは一時期、どんどん新興のアドネットワークが増えてましたからね。

坂本:確かに動画リワードの勝ち組は、上位層決まっちゃってるところありますもんね。

井村:あと通信量とかキャッシュの問題があるので、そもそもそんないっぱい入れられないことも含めて考えると、 SSP のメリットが弱くなるのかなと。

坂本:なるほど。アップデートで駄菓子 2 に AdMob メディエーション入れる予定はないんですか?

井村:今のところは無いですね。次回作では入れようと準備してます。

坂本:旧作のアップデートはかけない方針なんですか?

井村:ってこともないんですけど、中国の App Store でレビューが 12,000 件くらいついてて、まだ平均 ★5 点なんですよ、すごいことに。あれ消したくないんで。

坂本:おぉ、それは凄いっすな...

渡辺:中国だと最大 ★7 とかあるんじゃないですかね?

坂本:中国人レビューとかも買ってないですよね。

井村:買わない買わない(笑)。レビュー買ったことは 1 度もないです。

坂本:継続率とか、ユーザーは何日くらい遊ぶもんなのかとか教えてもらえないですか?

井村:中国は翌日継続率が 57% で、7 日目で 27% ですね。台湾が一番高くて、翌日継続率が 70% ぐらいあります。一般的なゲームがどれくらいなのか実はあまりよく知らなくて。

坂本:それはかなり立派な数字だと思いますよ。

井村:でも、1 週間も毎日やると、普通は終わっちゃうと思うので、何ヶ月とかはやってもらえないですね。

坂本:どこかで終わりが来るゲームですもんね。

井村:なので、あのタイトルを定期的にバージョンアップしてお客さんを引っ張っていくっていうことはあんまり考えてないです。もともとそういう仕組で作ってないので。

坂本:ちょっと勿体ない気もしますね。

渡辺:延命措置みたいに何かを入れたとして、それって面白いの? っていう話になる。ただ、もう何もない状態でも遊んでくれてる人がいるのを私たちも分かってはいるので、良い意味で複雑な気持ちではあるんですけども。

井村:前作のレビューで「終わったんだけどたまに起動してます」って人が結構多い。のぞきに来たくなるんですって。すごい有難いんですけど。

坂本:でも逆にそこは美しいですよね、終わり方としては。

渡辺:急にそこから新章展開とかされても嫌じゃないですか。「な〜んてね、まだ続くよ!」みたいな。

井村:シナリオ入れた時点で終わりがある前提で作ってるんで。そこはあまり崩したくない。ガチャを増やしても面白くないですしね。「全部コンプリートするまで頑張ろう」みたいな。

中国で「昭和の日本」のゲームがウケているわけ


坂本:でも凄いですよね、あのタイトルが中国でヒットするっていうのが。思いっきり、戦中戦後で、敵国なわけじゃないですか。

井村:前作では海外版で少しだけ変えた部分もあったんですが、今回は特に何にも変えてなくて。一応戦争ネタも入ってるんですけど、元々そんなにリンクしてるわけでもないですし。

坂本:海外の方は、自分たちの国の話として、「昔はこうだったよね」みたいなノリで楽しんでるっていうことなんですかね?

井村:国によって違うっぽいんですけど、中国の方は、日本のものだって分かってるみたいですね。日本の昔の話って分かってるんだけど、なんか原体験が共通していて似ているところがあるみたいで。

坂本:レビューのコメントとかではどういうこと書かれてるんですか?

井村:読んでますけど膨大にあってですね...。いろいろ言っていただいてますが、「懐かしい」っていうよりも「心があたたまる」とか「感動的な話だ」とかが多いです。「懐かしい」っていうのは日本よりかは少ないですね。

坂本:日本人は自分たちの昔の話として、海外の方は「どこかの国の昔の心温まるストーリー」として楽しんでるっていう感じですかね?

井村:ええ、ただ、駄菓子屋アイテムにも部分的には同じものがあるらしくって。殆どは日本のものだからいまいち「あったあった」っていう感じはしないけど、「コレとかコレはあったよね」っていうような書き込みも。

坂本:例えばどんな?

井村:わかんないですけど、メンコとかはあるんじゃないですか (適当)

坂本:コマとか (適当)

渡辺:階段を勝手に降りてくバネとか (適当)

井村:あとお菓子も、麩 (ふ) 菓子とかはあるでしょうし (適当)

坂本:そういう違いがあるってのは面白いですね。

井村:でも実は日本のレビューでも、本当の意味で懐かしいって言ってる人はあまり実はいないはずなんですよ。

坂本:「駄菓子2」って時代設定としては昭和 20〜30 年頃とかですか?

井村:オリンピックがこれからって言ってるんで、昭和 30 年後半ですね。

坂本:ぼくの親世代でもぎりぎり小さいころの記憶あるかな、ってくらいだ。

井村:出てくるアイテムは必ずしもその時代とは限らなくて、けっこう幅があるんですけどね。僕でも実はギリ分かるぐらいってのが結構あるんで。ユーザーは、実際は駄菓子屋なんてそもそも行ったことないけど、話に聞いたことはあるし、割とファンタジーとして見てくれている人の方が多くて。そいう意味では中国でも台湾でも似た感じだと思います。

ちなみに井村さんはこんな方

坂本:たしかに今の 20 代とか学生とかは絶対知らない世界ですもんね。

渡辺:あの絵を書いてるのはウチの 20 代後半の方なんです。で、やっぱり分からないって、すごい調べながら書いてましたけどね。常識であるかのように仕様書に書きましたけど、知らないですよね。

井村:2D さんと作ってるゲームは、おそらくアジアですごい親和性が高いんじゃないかなって思ってて。

渡辺:理由は分かってないんですけど、なぜか人気高くなりますよね。

井村:原体験が同じっていうのがあるんでしょうね。あと、あの「懐かしさ」に対する距離が、台湾とか中国って近いんですよ。日本だとあれは 70 年くらい前の世界観だから、僕ですらそんなに懐かしくはないんですけど、中国や台湾とかって経済発展したのって最近だから、「ああいうのって失われちゃったよね」っていう感度が高いんだと思います、

坂本:なるほど。30 代、40 代とかでも、「ちょっと前は確かにこういう感じだったよね」みたいな。

井村:日本だと 60 歳ぐらいにならないと本質的な意味で響かないんで。若い人には単純な「ファンタジー」として受け入れられてるので、そこの違いは大きいと思います、

渡辺:だからいまは、中国とかアジアはかき入れどきかもしれないです。

海外展開のリアルなはなし


坂本:前作は日本が 1 番ダウンロード数多かったんですか?東アジア方面にもけっこうローカライズして出されてましたよね?

井村:1 番はさすがに、日本ですね。累計で 250 万ダウンロードを超えてて、4 割が日本、6 割が海外。海外は韓国・台湾・中国、でほとんどですね。一応、英語版が存在するんですけど、北米とヨーロッパはもうほぼゼロに近い。やっぱり欧米の方には分からないみたいです。

坂本:ローカライズはどういう風にやられてるんですか?

井村:僕らの知り合いで翻訳できる人に、それぞれの言語ごとにお願いをしていて。テキストはそのまま流し込んで、グラフィックは手で書いちゃってるところいっぱいあるので、直していただくと。

坂本:あ〜、画像として文字を入れてるってことですね。

井村:モノによって僕らが社内でやってたり、2Dさんが別のもの作ってるときは、僕らのお付き合いのある会社でやってもらったり、いろんなパターンでやってます。

坂本:翻訳はネイティブレベルでちゃんとデキる人にやってもらうかんじですか?

井村:全部ネイティブですね。「日本語ネイティブで、その言語ができる人」じゃなくて、「日本語の分かる、その言語のネイティブの人」に、全部やってもらってます。

坂本:ニュアンスとか細かい表現は、ネイティブの人じゃないと分からないですよね。

井村:最近はできるだけ、もう 1 人用意してチェックしてもらうようにしてます。僕らそもそも何か間違いがあっても分からないんで、ダブルチェックの意味で。

坂本:ローカライズって要するに人件費じゃないですか。テキスト多かったらその分お金もかかってくると思うんですけど、毎回きちんと現地語に対応して出されてるっていうのは、コストを上回る勝算があってやってるんですか?

井村:もちろん最初は分からなかったですよ。最初は駄菓子屋 1 の台湾版です。当時、台湾はアツいっていうのがけっこう話題になってたんで。JOE さんの「ようとん場」が台湾でかなりイケてた時期で、翻訳代くらいは売り上げ出るんじゃね?っていう。出なかったとしてもお勉強代だと思えばっていうくらいの気持ちでした。

坂本:翻訳って相場で言うとどれくらいかかるもんなんですか?

渡辺:相場で言うと、たぶん業者に頼むと 1 文字 10 円前後で、個人の翻訳者にたのむと半分くらいとか。1 文字 10 円くらいで見ておけば大丈夫ですね。

坂本:あとはテキストがどれくらいあるか次第で。

渡辺:駄菓子 1 はあんまり翻訳されることを考えてなかったんで、グラフィックで文字を書いてるんですよね。やっぱりキレイになるんで。そうなると、翻訳してもらうときに、誰かがそこをフォトショップで修正しないといけないと。そこで人件費もかかってきちゃいますけども。

坂本:あーなるほど。

渡辺:とはいえ何百万円とかではないわけで、おそらく何十万円のオーダー。ってなったら、数十万ダウンロードされるゲームを出せば、十分回収できるだろうと。

坂本:ちゃんとリターンは見込めるってことですね。

ローカライズについて深堀りしてみた


渡辺:ローカライズも、翻訳者の方が細かいところを気使ってくれて。例えば、壁に私たちが勝手に落書きで書いた文字とかも、翻訳してくれたりとか。

井村:そうなんですよ。すげー、ここまで直ってるよって。

渡辺:あそこまで直してもらう気はなかったんですけどね。

坂本:でも結果的に、最初期待してたよりもローカライズのクオリティーは高くなったと。

井村:そうですね。いくらオススメ枠に載ったって、今の時代良いモノ作ってないと、厳しいとは思いますね。

坂本:日本ではフィーチャーされたことはあるんですか?

井村:日本ではないんです、1 回も。だから、日本のフィーチャーと中国のフィーチャーがどれくらいインパクト違うのかも分からないですね。

渡辺:1 作目はタイ語版を出してるんですが、そちらでだけフィーチャーされました。ダウンロード数は数十万とかになったので、効果がデカいのは間違いないですよ。

井村:見てて思うのは、アジアの言語、中国語でさえも、現地語にきちんとローカライズされてるタイトルがあんまりないんじゃないですかね?とくにカジュアルなものとか、ある程度広いラインナップをフィーチャーしようと思ったら、そもそもタイトルがないって感じだと思うんで。

坂本:確かに日本のストアで見ても、ソシャゲ以外で、世界観がキレイな「アップルが好きそうな」ゲームもよくフィーチャーされてますけど、割と英語のやつも多いですよね。

井村:世界のデベロッパさんも、まず英語では出すって考えるけど、中国語や日本語はちょっと後回しか、クオリティがちょっと低かったりとかなるんでしょうね。

渡辺:あの Crossy Road でさえ、最初は日本語が逆になってましたね、右から左に。

Crossy Road (iOS | Android)

坂本:え、そんなことありました?

渡辺:あったんですよ、一瞬で直りましたけど。びっくりしました。

坂本:あと、この間「アプリマーケティング研究所」のインタビューで僕が言ったサガ問題とかも。とりあえず Google 翻訳かけとくか、みたいな。


渡辺:ホントにあるんですね。

坂本:飴佐賀、泡佐賀、ドラゴン佐賀、とか。いろいろあって面白いですよ。

海外でヒットするために何をやったのか


坂本:今回、駄菓子 2 が中国でヒットしたきっかけの 1 つとして App Store でのフィーチャーがあったじゃないですか。プロモーションとか PR では、どういうことをやられたんですか?

井村:まず、有償のプロモーションは何にもやってないです。1 円も使ってない。パブリシティは、レビューサイトとかに、インターンの中国からの留学生から、こういうゲーム出したんでレビューしてねっていうメールは送ってます。でも、わりと中国って「有料なら紹介します」っていうとこが多くて、無料ではやりませんみたいな。結局ほとんど載ってないんですよね。

坂本:あ〜そうなんですね。

井村:あと、台湾で強い「バハムート」ってゲームサイトがあるんですけど、最近やり方が変わったのか、「ゲーム出す前に言ってくれれば世話する」っていう感じで。つまり、ニュースバリューがあるなら載せるけど、既に出したっていうのはもういいです、みたいな。なので、パブリシティもどこまで効いたかっていうのは怪しいですね。あとは何もやってないです。

坂本:App Store のオススメに載ったのは、日本の Apple の方とコンタクトがあった?

井村:いや何もしてないです。そもそも担当されてる方も存じ上げないですし。中国でオススメされるまではホント何もしてなくて。金曜日に広告売上がやけに伸びてるなって、なんか載ったかなって思ったら、オススメで。インターンの中国人の子がいるんですが、「友達からおめでとうって言われました」とかって。

坂本:ぼくも、AppLovin の売上見て、アレッて思って見てみたら、中国からの売上でびっくりしました。

井村:今回あまりに反響があったので、味をしめて、台湾とかでもオススメしてよって、Apple の公開されてるメアド (AppStorePromotion@apple.com) に連絡してみたんですけど。それは今のところ何も効果出してないです。

坂本:目つぶってバット振ったらホームラン、みたいな。

渡辺:バット振ってもいないっていう。構えてたらバットにボールが当たっちゃって、ホームラン。

井村:でも打席には立ちました。そこが重要ですから。ネクストバッターズサークルじゃだめなんですよ。そこを強く言いたいですよね。素振りしててもダメなんですよ。

坂本:ちゃんとローカライズもして出すっていうのは、やってないところがほとんどですもんね。

渡辺:ホントにそう思います。

開発体制・役割分担のはなし


坂本:仕様書だと、「これはこういう絵で」ってテキストで書いてたんですか?

井村:だいたい画像か何かの URL つけてるんですけど、たまに違うものを想像されてたりはします。

渡辺:やっぱりどうしても今風に書いちゃうところがあるんで、それは修正したりとかはしてますね。これは今あるおもちゃだよね、みたいな。当時だったらもっと、色はくすんでるだろうし、デザインもこうじゃないの?って。

坂本:あー、「ロボットのおもちゃ」とかって仕様に書いてあると、今のおもちゃはハイテクっぽいのけど、昔のはね、こう...

渡辺:たぶん手も動かないし、四角に手が生えてればこれで十分なんだよ、みたいな。

坂本:グラフィッカーの方は 2D Fantasista の方ですか?前作からずっと同じ方がやられてるんですよね?

渡辺:今回は 2 人で書いてます。メインは前作から変わらずのラボメンなんですけど、物量が多いので、量産するところだけ別のラボメンにもやってもらって、それをメインのアーティストがチェックして修正して、最後 GAGEX さんにもチェックしてもらうってそんな感じです。

坂本:プログラマの方は?

渡辺:プログラムのところは、メインが 1 人。と、あとは私が半分みたいな感じです。セキュアなところとか広告のところは私が実装して、ゲームの部分はもう一人のプログラマーに実装してもらうって感じですね。

坂本:広告はまさおさん、って分担のしかたはユニークですね。

渡辺:まだ若いプログラマで、例えば、広告プラグインで問題が起きたとかアンドロイドの設定が何か分からないとかなったときに、なかなか対処できない。私もそこまで強いわけではないですけど、そのラボメンに比べればましだということで。

坂本:以前からやってる分、広告周りの知見もありますしね。

渡辺:そう、何か問題あったときに、ここが原因じゃないかって突き止めやすいですね。その代わり私はキャラクターの動きとか全然苦手なんですけども。

坂本:えっ、そうなんですか?

渡辺:もう 1 人のプログラマーはものすごく得意。僕はどちらかと言うと、多少システマチックなプログラマで、表側というよりは後ろ側のほうが得意なんですよ。

坂本:そうなんですね〜。社名が「ファンタジスタ」なんで、まさおさんもすげーこう、トリッキーな動きとも余裕で作れるんだろうなって思ってました。

渡辺:憧れなんです。///

坂本:確かに漫画の「ファンタジスタ」読んでる人の半分以上は、ディフェンダーとか、テクニックないけど、みたいなとこありますね。

渡辺:憧れありますよね。///

ファンタジスタに憧れる、まさおさん

坂本:じゃあ体制としては、2D Fantasista さんのところで、開発・デザインをそれぞれ 1 人強分、ということですね。で、企画とパブリッシングを GAGEX さん?

井村:テキストとかシナリオとかは僕がやってて。

坂本:社長自ら。笑

井村:仕様は 2D さんにも適宜相談してはいますけどね。冒頭部分と、テキスト全般と、あとネタ出しをして、2D さんにお渡ししてるってかんじです。

坂本:相当大変じゃないですか?作りこみとか、いろいろ細かいところまで凝ってたりとかしますし。

井村:まあ、シナリオは大変ですね。ネタ出しは全然大変じゃなくて、無限に出てきますよ、あのくらいでよかったら。でもそれより、ゲーム作る方が全然大変です。それに比べたら全然、屁みたいなもんなんです。

坂本:屁ってこともないと思いますが(笑)。シナリオに対しては、2D さんからもフィードバックとかはするんですか?

渡辺:はい。やっぱりゲーム作ってるときに外からの意見ってすごい大事だなって思ってて。言われた通りに作ればいいとかではなくて、第三者からはそういうふうに見えるんだ、そう感じたんだ、っていうのは必要な情報だろうなって思ってるんですよ。

坂本:なるへび。

渡辺:なのでシナリオをもらうと、必ず社内でみんなに見てもらって、一言でもいいから感想もらって、それを GAGEX さんにお伝えするようにしてます。私自身もこう思いますよっていう話もさせてもらいます。

坂本:それは面白いですね。完全に個人でやってると、ともすれば自分が作りたいだけのものになりがちですし、チームでやるメリットですね。

渡辺:そうなんですよね。なんで、私どもがゲームをアップした際も、ここが触りにくいとか気持ち悪いとか教えてもらったり、絵に関してもフィードバックもらったりしてます。それで調整かけていくことで、ゲームのクオリティーがすごく上がっていくっていうのはすごく感じてますね。

坂本:やらなかったらたぶんもっとクオリティー低かっただろうなって感じですか?

渡辺:ないと厳しいですね。ゾッとしますね。僕は自分たちのこと信じてないんです。

井村:そこはわりと初期のネタ出しの頃から意見交換してるってのが上手くいってる理由かもしれません。お互いに全部丸投げしてたりすると、意見出し合うにしても立場が違っちゃいますもん。お互いに相手の領域には口を出しづらいみたいな、遠慮するところも出てくるし。

坂本:そういうお互いがお互いを助けあいつつ、高め合いつつみたいな、いい関係がずっと続いてる感じなんですね。

井村:良い感じに書いておいてください。



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