AppLovin でトップクラスに稼いでいるゲームデベロッパー GOODROID から、なんとぼくの名前を冠したゲームがリリース!
ということで、ゲームの企画・開発や経営について、創業メンバーのお二人である松田社長・田辺プロデューサーに、たっぷりお話を伺ってきたよ!
めっちゃ長い!!
坂本:いつも AppLovin を使っていただきありがとうございます!
松田・田辺:あざす!!
坂本:SSP 経由で使われているケースがほぼ全てだと思いますが、どのアドネットワークが良いとかって話は SSP から聞かれてるんですか?
松田:聞いてますよ〜。収益性については AppLovin が一番いいです!
坂本:それだけ聞ければ満足です!!
坂本:あらためて「坂本ですが?」、リリースおめでとうございます。
松田・田辺:ありがとうございます!
坂本:ぼくのアプリが出るってことで(笑)、楽しみにしてました。
坂本:今回は漫画・アニメが題材で、他にも YouTuber コラボとかもよくやってますよね。あれって基本 GOODROID さんのほうからコラボしましょうよって提案しに行ってるんですか?
松田:全部僕らから行ってますね。今回「もやしびと」とはじめしゃちょーでコラボするんですけど、それとかも元々はじめしゃちょーが「もやし」ってニックネームで呼ばれてるってところから思いついて。
(一同笑い)
松田:ベストマッチングじゃないですか。
坂本:たしかに!
田辺:で、ウチはもやし業界 No.1 ゲームを持ってますって(笑)
松田:先方も「おお、面白いねw」みたいな(笑)
坂本:もやしゲーム業界はもう圧倒的ですよね(笑)。海外にも出てるぐらいですからね。
坂本:過去に出されたゲームですが、今回は新しいタイトルとして出すんですか?ゲームの中身とかは変えられるんですか?
松田:ゲーム性はほぼ一緒なんですけど、追加で動画広告の出し方が変わったり、課金要素が結構入ったりするんですね。
坂本:今風にアレンジされるわけですね。
田辺:ストーリーとかも入ってますね。
坂本:もやしびとにストーリーが(笑)。良くも悪くも楽しみです。
田辺:結構いい出来になってますね。
松田:先週末にはじめしゃちょーの動画で告知してもらったんですけど、もう 200 万再生くらいされてるんですよ。
坂本:えー!
松田:「予約トップ10」も一瞬で 1 位になってました。
坂本:まじっすか。いやトップ YouTuber は すごいですね。
坂本:コラボ案件は、基本レベニューシェアですか?
松田:基本レベニューシェアでやることが多いですね。
坂本:YouTuber も IP ものも、人気のとことかゲーム化しましょうみたいな引き合いって他からもあるんじゃないかなって思うんですけど。
松田:坂本ですが?に関しては僕らが初めてだったらしいですね。
田辺:それでもやししゃちょー…あ、はじめしゃちょーの方は
(一同笑い)
田辺:はじめしゃちょーの方は、もう既にいくつか出してました。
坂本:UUUM さん結構コラボやってますもんね、ゲームで。
田辺:はい。UUUM さん的にも、新しいサービス沢山作ろうぜって感じなので。
松田:僕らとしては開発力とかクオリティでは、カジュアルゲームの業界において負ける気がしない、というスタンスなので。
坂本:おっしゃる通り、GOODROID さんはカジュゲー界ではトップクラスですよね。そもそも昨今では、競合が少なくなっちゃったみたいなところもあるし。
松田:そうですね(笑)。もちろん、大きいソシャゲの会社とかとは比較にならないですが(笑)。
坂本:あっちはかけてる予算が何億の世界ですからね(笑)
松田:こちとら!(笑) 相変わらず 2, 3 人くらいで 1.5 ヶ月くらいで作ってたりするんで。
坂本:開発費で言うと 100 万、200 万円とかのオーダー。
田辺:そうですね、200 万円くらいですね。
坂本:そう考えると相当高利益率ですよね。運用もそんなに必要ないタイトルばっかりじゃないですか。
坂本:アプリごとの売上は、前セミナーでおっしゃってましたけど、ヒットしてるやつだと何千万円とか。
松田:ああいうの出ると、相当な利益率ですね。
坂本:でもそうじゃないのもちょいちょいある?
松田:ありますね。この前 AMoAd 主催のセミナーで、意外と厳しいぜって話をしたんですよ。
松田:1 本開発するのに大体 200 〜 250 万円かかって、さらにプロモーションコストで 50 〜 100 万円乗っかったりして。
坂本:原価が 1 本大体 300 〜 350 万円くらい。
松田:それをリクープできるゲームって僕らでも…何個?10 打席で 1, 2 安打とか。
坂本:意外とそんなもんなんですね。
松田:結構色んな人から、意外でした!って言われます。
坂本:だって毎回出すタイトルがエッジ効いてますし。松田さんの Facebook ではもう間違いなく盛り上がるじゃないですか(笑)
田辺:少なくとも毎回、完全にバットを振り切ってますね(笑)。でも結構空振りも多くて、アレ?みたいな(笑)
松田:通算売上13万とかそういうのありますからね。数ヶ月で13万しか売れなかったとか。もう余裕で大幅赤字(笑)。どうしようみたいな。
坂本:そういうのもあるんだ。
松田:こういうのもけっこうあるんですよね、やっぱり。あと、通算 40 万円しか売れなかった横スクロールのゲームとか。もちろん出すときには、僕らは「多分、Crossy Road くらい行くんじゃないかな」って。
坂本:それはヤバい(笑)。10 億円稼いじゃう。
松田:それくらいの気持ちでは作ってたんですけど、おかしいなあと。気合で 100 ステージくらい作ったのに(笑)
坂本:めっちゃ頑張って作ってる(笑)
松田:そういう意味では「ヒモ男」の売上くらい行くと、相当利益率は良いんですけど、そういうのが出る確率っていうのがかなり低いですね。
坂本:なるほどね~。5 本に 1 本当たって、ハズレの売上を仮にゼロとして、5 本作る原価が 1,500 万円だから、当たったタイトルが 1,500 ~ 2,000 万円ぐらい売上が出てようやくリクープかな? みたいな感じですかね。
松田:そんな感じですね。全部のアプリが「ヒモ男」ぐらい売り上がってくれたら、どんだけもう…ウハウハ(笑)
坂本:ヒットしてもそこまで行くか行かないかって感じですか。
松田:っていう感じですね。
坂本:でも、全部基本的にはヒットするでしょって思って作ってはいるんですか?
田辺:そうですね。その気持ちで出してます。たまにありますけどね、なんか…無理めだな!みたいな(笑)
坂本:ここで止めれないから出そっかみたいな。
松田:行くしかない、っていう時はあります。それこそ「ヒモ男」のモチーフとかも正直読めなかったんですよね。本当に行けんのかな?みたいな。プロデューサーは女の子だったんですけど、いかんせん僕ら、おっさんばっかの会社なので(笑)
田辺:女性向けタイトルって判断がすごい難しいんですよ。これ本当に女の子に刺さるのかな?って。
松田:僕とか田辺だと判断つかない時もあるので。これどうなるかなー?っていう感じで出してみたら、意外とヒットした、みたいな。
坂本:企画は現場とか、プロデューサーの方から上がってくるんですか?それとも松田さんからトップダウンで「こういうモチーフで作ろうよ」って指示を出すんですか?
松田:両パターンありますね。エンジニアとかデザイナーも含めて、企画を出すスプレッドシートみたいなのがあって、そこにわあーって企画を数百案くらいドーンってリストアップしてあるんですよ。
坂本:へぇ~。1 つ 1 つの企画はどれぐらい練られているんですか?
松田:そのスプレッドシート上ではまだ、ほんとモチーフだけですね。「ヒモ男のゲーム」とか、それくらい(笑)
田辺:「野球拳だけど着膨れしていく」とか。
松田:「人間の脳をグチュグチュするゲーム」とか…
田辺:で、たまにその中に光るものがあったりもするので、そこから膨らます。「ヒモ男」は、膨らますと可能性あるかもね、みたいに。
松田:そういうのが本当にない時にはもちろん、どうしよっかってプロデューサー内で話すんですけど。プロデューサー以外にも、誰がどういうアイデア持ってるか分からないですからね。
坂本:どれくらいの案が母数として出てきて、検討段階まで行くのはどれくらいで、開発プロセスに入るのがどのくらいで、そこから何割ぐらいリリースされますか?よく Supercell とかって、作ってもダメだと思ったらリリースしない、とかって言うじゃないですか。
田辺:案出しの時点ではすごく雑で、たくさん出す。次の段階で一気に数個に絞られる。
松田:100 個くらい案を出すのは結構早いんですよ。みんなから集められるので、2, 3 日もあれば。
坂本:それを松田さんとかプロデューサーの方とかが、面白そうなやつを見繕って、数を絞っていく?
松田:そうですね。そこから深掘っていきます。「ヒモ男」でゲーム作るとしたら、どういうのできるっけ?みたいな話をしていって、上手く練れたものだけを実際には開発していくという感じです。
田辺:意外とモチーフが決まっちゃえば、そこからはトントンと進んだりするんですよね。
坂本:例えば「ヒモ男」でいうと、最初「ヒモの男をテーマにしよう」ってのが決まるわけじゃないですか。そこから練っていく流れはどんな感じですか?
松田:そうですね...ヒモ男なんで「養いたい欲求」を満たしてあげれるようにしよう、そうなると放置育成ゲームで、ヒモ男だからゴミを散らかすよなぁ、それを片付けタスクを入れよう、みたいな…
坂本:ヒモ男をいわゆる「放置育成ゲームのテンプレ・フレームワーク」に当てはめて、ユーザーが単純タスクをするところは「ゴミの片づけ」だよなぁ、みたいなふうに落としていって?
田辺:だいたいの流れはそんな感じです。
松田:それだけだと面白く無いから、成長していく過程で分岐を作りたいねみたいな話になり、その分岐の先っていうのが、ヒモ男を育てた先に「どんどんダメ男になっていく」パターンと「更生していく」パターンあるじゃないですか。どっちが面白いかなぁみたいな。
田辺:もちろん両方入れて良いと思うんですけど、僕らの感覚だけじゃなく、女性プロデューサーとかも含めて一緒に話し合って。
坂本:そこまで話し深掘っていって、「これは確かに面白そうだ」ってなったら開発に進むみたいな。
松田:そうですね。熟考してその企画自体を詰めていってる段階というのは多分 1 週間かかってないと思うんですよね。3 日とかでとっととまとめて、とにかく作ろう!みたいなスタンスになるんで。
坂本:その段階で、仕様はどれくらい固めてから開発に進んでるんですかね?今の話だと、わりかし主要なところの仕様って決まってそうな感じあるんですけど。
松田:マジで本当に、スゲー固まってないです。ウチの開発のスタイルなんですけど、「ネオアジャイルスタイル」で開発してて。
坂本:ネオアジャイルスタイル?
松田:アジャイル開発って、仕様検討と開発が並行で進む。ネオアジャイルは、仕様固まってないけど、山のこっちから仕様検討、反対側から開発で、一緒にトンネルを掘り出すみたいな。
田辺:一緒にトンネル掘っていくんじゃなくて、エンジニアはもう仕様が固まる前から既に作り始めて。どっかで向こうからも掘ってくるから、合うでしょ、みたいな(笑)
坂本:意味がわからない(笑)
田辺:合うポイントがあるんですよ。
松田:エンジニアは、もう「育成ゲーだからこのフレームワーク使うでしょ」「これっしょ!」みたいな(笑)
田辺:決まってる部分からやっていくみたいな。
坂本:それすごいですね。ある意味、過去に同じチームで開発を積み重ねてきてるからできる技ですね。
松田:実は僕、ソシャゲ作ってる時からそれやってたんですよ。だってソシャゲとか、例えば、絶対ガチャあるじゃないですか。レアガチャとか演出あるよねみたいな。絶対図鑑とかあるし、デッキとかもあるわけじゃないですか。じゃあ「仕様待ってないで、作ろう!」みたいな(笑)。その隙に仕様固めるからって…。
田辺:開発でいうと、ある程度動くものをモックとして作って、そのあとアルファ版・ベータ版って作っていくんですね。そのモック期間の終わりから、アルファ版の開発終わるくらいまでには、全体の仕様固まってるといいな〜くらいの目安。
坂本:固まってるといいな~、って(笑)。その後もどうせ変更とかはあるでしょう、みたいな。
松田:もう開発において、途中で仕様変更があるのってある程度しかたない部分があると思ってるんで。仕様変更が発生したら、「よっしゃあ」みたいな。スケジュールはズラせないけど乗り切っていこう!っていう、よくわかんないですよね(笑)
田辺:常にバッファを 2, 3 日持った状態でスケジューリングしてるみたいなイメージですね。
坂本:おもしろいなあ。
松田:仕様書とかもそんなにすごいパリッとしたものがあるかと言われると全然なくて、
田辺:過去のタイトルの横展開のものとかも最近だと出てきたりしてますし。
松田:僕が好きな田辺の仕様書があるんですけど、チュートリアルって普通、結構細かく仕様とか作るじゃないですか。
坂本:普通そうですね。
松田:田辺の仕様書のチュートリアルこれですからね。
松田:「一連の流れを説明」ってこれで終わってますからね。
坂本:スライド 1 枚にww 2 行しかないwww
松田:これでチュートリアル作んないといけないんですよ、デザイナーとエンジニア(笑)。何の仕様でもないですからね。「一連の流れを説明」……ってそれ「『チュートリアル』の意味だわ!」みたいな(笑)
田辺:言葉の定義ですよね(笑)
坂本:なんなら広辞苑とかの方がもうちょっと詳しく書いてる(笑)
田辺:もう勝手に作っておいて、デザイナーとエンジニアさん~みたいな。
松田:ただ、彼は常に 4 件くらい新規同時に立ち上げてたりするんで。
坂本:開発ラインって何本くらい同時に走ってるんですか?
松田:プロデューサーは今、田辺と、女性プロデューサーと、最近入った新卒 1 年目の子の合わせて 3 人しかいない。
坂本:その新卒の子もえらいところきたって思ってるでしょうね。
田辺:よく来たなって思いますね(笑)
坂本:これが普通の開発現場だと思ってもらっちゃ困りますよね(笑)
松田:なので同時進行で開発してるのは全体で 5, 6 個くらいですね。そのうち 3 つ 4 つを田辺がやってたりします。
坂本:1 人で 3 つ 4 つですか。相当多いですね。
松田:そうですね。プロデューサーの性格とかもあるので、田辺は「雑に数こなす」のが得意なのでそれだけ多くやるんですけど(笑)。もう一方の女性プロデューサーは「丁寧に確実に」当ててくるっていう感じなんで。「ヒモ男」も彼女がプロデューサーでしたし、外しが少ないっていう感じです。ちゃんと当ててきます。田辺はめっちゃ空振ります(笑)
坂本:でも打席にめっちゃ立ってる。
松田:めっちゃ打席に立たせます。体力すごいあるんで(笑)、打席にだけめっちゃ立ってる。
田辺:その弊害がコレっていう(笑)
坂本:新しい…新しすぎる(笑)
田辺:なんでスクショ撮ってるんですか。
松田:いやね、俺もう田辺好きすぎて、田辺フォルダっていうのがある(笑)。田辺の伝説がまとまったフォルダ(笑)
坂本:田辺さん、打席に立ち続けるための Tips って何かあるんですか?かなりエッジ効いたタイトルをバンバン出されてると思うんですけど。ネタがいいからもう後は肉付けするだけなのか、それとも田辺色がけっこう出ているのか?
田辺:僕の色が出てるって感じではないなって思っていて、どちらかと言うと結構 2 ちゃんねるとか、バズりそなネタを常日頃探してるみたいな感じです。
坂本:まとめブログずっと見てますってことですか、要するに(笑)
田辺:めっちゃ参考になります(笑)
松田:流行ってそうなもの発見したらすぐ食いついてきますよね。
田辺:このマンガがドラマ化されます!とか。
松田:今日とかだと「あれ見た?『ウシジマくん』がまたドラマと映画に!」って。
坂本:だからまた「ヤミ金」やろう、みたいな(笑)
松田:「ヤミ金業界 No.1 アプリ」ウチあるけど~みたいな(笑)
坂本:「闇金」も結構息長いですね。
松田:「闇金」は長いですね。「闇金」の場合実は、業界の裏話につき自主規制
坂本:あー(笑)自主規制
田辺:なので、まとめサイトとか見つつ、そこからモチーフとか引っ張ってきて、そのモチーフに合わせるゲーム部分とかをまた別に考えていくみたいなパターンが多いですね。
坂本:ゲーム性の部分についてですが、ご自身でもゲームはやるタイプですか?
田辺:アプリのゲームは結構やりこんでる方だと思います。特に参考になるのが多いので海外系を結構やってます、ダウンロードランキングに載ってるものを中心に。ものすごい単純なのにずーっと上位にあり続けてる海外のアプリとかあるじゃないですか。
坂本:ありますね。
田辺:そういうのが本当に超カジュアルゲームだったりするので。「あ、この動き単純に気持良いな」みたいなのは常に触って、松田とかにも共有して「これ気持ちよくないですか」みたいな話をよくします。
坂本:なるほど。モチーフのところはマスメディアとか 2 ちゃんとかからのインプットがあって、海外ゲームとかからインプットしたゲーム性と上手く組み合わせてる、と。
田辺:そうですね。モチーフの方はできるだけエッジの効いたものにするよう心がけてます。
松田:やっぱりインストールされないと、どんなに良いゲーム作ってもダウンロードされないとやっぱり意味ないので。とにかく最初にアイコンのイメージとか、タイトルとか。こういうタイトルにするとユーザー入りそうだな、とか。
坂本:それは ASO (App Store Optimization = アプリストア最適化) や検索対策の観点というよりかは、単純にユーザーの心に引っかかりそうかどうかっていう観点?
松田:ネタとして、ですね。それとかはやっぱり考えてます。いざストアに並んだ時こういう感じになって、他のアプリと並べた時にハッて引っかかるぞ、みたいなイメージをしながら。
田辺:モチーフが凡庸だとやっぱり難しいんですよね、ゲームとしては。
坂本:それはありますね。日本のゲームでも、面白いし、触り心地みたいなところとか含めてもクオリティは高いんだけど、だけどそれ以上にグッとはこない、みたいなのはあります。逆にネタだけがキャッチーでも、触り心地とか細かいところが雑な作りになっててもダメだし。
松田:僕、ソーシャルゲーム作るんだったら「もやし」のソーシャルゲーム絶対作らないんですよね。流石にやっぱり開発コストもデカイんで、もっとマスを取りに行くんですけど。それこそドラゴンなんたら!みたいなの。
坂本:パズル & モンスター・戦国ドラゴンストライク!みたいな。
松田:カジュアルゲームって良くも悪くもポンポン沢山出せるっていう特性があるので、ココ狙いって絞ってエッジを立てて、ドン!ドン!っていうのを色々作っていく方が合ってるなあと。
坂本:会社的に、または GOODROID 的にこれくらい当たればヒットだなみたいなラインってあるんですか?ダウンロード数なり売上なり。
松田:僕らは事業としてやってるんでやっぱり売上で判断してます。初月の売上で 300 万円行くとそれだけでほぼリクープできるようになってて、それでプチヒットくらい。初月の売上が 500 万円超えると中ヒットくらい。1,000 万円超えてくるとカジュアルゲームとしてはすごい当たったなみたいな。500 万円以上の数を増やしたいなという感じですね。
田辺:逆にここ届かないと、キツかったな、と。
坂本:っていうのが基準になるんですね。会社としては基本カジュアルからミッドコア手前くらいまでをずっと攻めていくつもりなんですか?
松田:カジュアルゲームって良いところもあり悪いところもあるんですね。やっぱり、1 タイトルで継続的な売上を作るのが難しいんですよね。
坂本:基本的にはリリース直後に売上の山が出来て、その後すぐ 0 に近づいていく。
松田:そういうビジネスモデルもアリなんですけど、中々しんどい部分もある。なので、引き続きカジュアルはやりつつ、今ちょうど開発リソースの大体 ⅓ とか半分近くを使って、もうちょっと大きめの、ユーザー的にはソシャゲって思うだろうなっていう見た目・規模のものを作ってます。開発期間も半年ぐらいかけて。
坂本:へぇ~。「ユーザー的にはソシャゲって思うだろうな」っていう表現がすごい気になるんですけど(笑)、自分たち的にはこれはソシャゲじゃないって思ってるんですか?
松田:まぁ課金も綺麗に入ってるし、イベントとかも普通にできるし、ユーザーとしては「これ普通のソシャゲやん!」って思うでしょうけど、裏側の作りが。
坂本:といいますと?
松田:カジュアルゲームで培った、ランニングコストが余りかからないような作りになってるんですよ。サーバーとかも含めてコストが極めてかからない作り方が出来るんですよね。やっぱり僕も、ソシャゲの経験を経て、その後カジュゲでアクセル踏んできたからこそ行き着いた、分かったことです。
坂本:ずーっとソシャゲだけ開発していると、高コスト体質が普通のように思えてくると。
松田:そうですね。たぶん 9 月とかには出せるかなと思ってるんですけど、これが仮に上手くいくと、結構新しい例が作れるなと思ってます。半年くらいで作って、継続的に収益が上がって、収益は広告よりおそらく課金のほうがドーンってでかくて。
坂本:(課金:広告が) 8:2 とか。
松田:っていうのをいま挑戦中っていう感じですね。
坂本:面白いですね。カジュゲ作ってる会社はどこもそういう流れになるんですかね。イグニスさんとかも、ずっとカジュアルとか、もっと初めの方はツール系だったじゃないですか。で、課金・広告ハイブリッドの「breaker」とか当てて。
田辺:そうでしたね。
坂本:それと同時並行くらいで「ぼくドラ」当てて、今はリソースもソシャゲの方に多く割いているのか、カジュアルタイトルは最近あまり出してない。やっぱり事業としてやっていくとそうなっていくんですかね。
松田:と思いますね。
坂本:松田さんは今までの話では、いちプロデューサーな感じですけど(笑)、一方で CyberAgent グループ子会社の社長なわけじゃないですか。その立場からするとカジュゲ特化型はやっぱりキツいんですか?
松田:そうですね。ぼく最初に子会社を立ち上げて、1 ヶ月くらいで出した 1 本目の「もやしびと」が初月 1,000 万円、半年くらいで 5,000 万円くらいの売上になって。全部それが出るんだったら絶対カジュアルゲームやったほうが良い(笑)。でも、そんなオイシイ話続かないじゃないですか。
坂本:300 万円で作ったものが 5,000 万円になって。
松田:ほとんど運用かからず。それを量産しまくれるて言ったらもうこんな良いビジネスモデルないですよ(笑)
坂本:確かにそうですよね。そのクラスが毎月 1 本出てれば年間で売上 6 億?良いビジネスですよね(笑)
松田:おそらく営業利益率、ヘタしたら 80% とか(笑)
坂本:ユニコーンは行かないけど、結構良い valuation で上場できるよねみたいな(笑)
松田:そうですね、すぐ上場できちゃうな~って感じなんですけど(笑)。まあ 1 年間カジュアルゲームやってみて、導き出した結論は「意外と当たらない」っていう。「もやし」っていうのは奇跡で一発目当たっただけだっていう(笑)
坂本:なるほどね。
松田:やっぱり 1 本くらいは継続的に収益がずっと上がるようなタイトルが欲しい。
坂本:安定的に収益上がるのタイトルが 1 個あって、その上で博打を打つと。
松田:それで博打のほうでも時々ヒットしたらデカいなって思ってて。僕らもものづくりに携わるものとしては、もちろん売り上げあげたいっていうのもありますけど、世界で大ヒットするよなアプリ作りたいなっていうのがすごいあるんで。
坂本:なるほどね。
松田:そうなるとやっぱり僕の同期の高場くん (※) がやってるトランスリミットとか、世界で何千万ダウンロードってされていて。
(※ 高場 大樹さん = Translimit 社 創業社長)
坂本:あっそうか、同期なんですね。
松田:そうなんです。僕と新卒同期なんで。ああいうのは、ものを作る人として「こういうの俺も作りてぇな」っておもうし。
坂本:「世界で 2,000 万ダウンロードされたぜ!」ってドヤ顔したいですよね。
松田:したいですね。でもそういうゲームってどっちかというと、ソシャゲよりは、ひょっとするとカジュアル系の領域からのほうが出しやすいんじゃないかなって思ってて。カジュアルゲームちょこちょこ作ってるのも、そういうのを狙いたいなって思ってるんですよ。
坂本:まだ当たってないけど、1 発当たった時に逆転満塁 100 打点ホームランみたいなのが、「世界だったら出んじゃね?」と。
松田:Crossy Road 作れたらもう…ね、終わりだし(笑)
坂本:確かに(笑)
田辺:めっちゃナンバリングしますよね。2, 3 って続編作りまくる(笑)
松田:こういうところ!こういうのが安直なんですよ(笑)。良い所でも悪いところでもある。
(一同笑)
松田:すぐ横展とかしたがる。いいやつといいやつを掛けあわせたらうまい、みたいな。寿司とカレーを一緒に食ったらうまいみたいな発想(笑)
田辺:ひどい(笑)
坂本:海外って今どれくらいやってるんですか?力の入れ方的には。「もやし」とか、いきなり韓国で当たったじゃないですか。
松田:いや本当ね、あれが良くも悪くも影響ありましたね。「あれ?海外出したら簡単に当たるじゃん」っていう体験をしちゃったので。
坂本:夢持っちゃった。
松田:そう。そのあと出した続編「もやし DX」とか、韓国も中国も台湾も全部ローカライズしたんですけど、全然鳴かず飛ばず(笑)
坂本:そんな甘い話じゃなかった。
松田:海外で課題なのはやっぱりプロモーションで、割が良いというか、簡単にリクープできそうなプロモーション手段っていうのが日本に比べて全然ない。カジュアルゲームのプロモーション結構やりにくいです。
坂本:日本だと未だにアップトーキョーに遠慮して自主規制してランキング上げてリクープ、っていうのがまだできると。
松田:それもいつまで続くかなっていう感じなので、そこがやっぱりカジュアルゲームの事業としての脆弱性だなと思ってます。
坂本:そうですね。ある程度 ARPU ないと普通のプロモーションは打てないですもんね。
松田:その辺含めて海外じゃ中々難しい。もうちょい ARPU 高いアプリが作れればプロモーションもできるなと思うんですけど。「もやしびと」とかも運で流行っちゃっただけなので、一切ノウハウが溜まってない(笑)
坂本:今までプロモーションとかで海外でやられたことはあるんですか?
松田:今のところは一切無いですね。ちょうど「ヒモ男」の韓国版ができたので、そろそろ出そっかなと思ってるんですけど、プロモーションのところは検討中です。
坂本:韓国とかは未だにアップトーキョーに遠慮して自主規制の文化もあるみたいですね。
松田:そうですね。今ちょっと探し中です。「ヒモ男」とか国内でも 1 ダウンロードあたりの収益が 100 円超えてるんですよね。結構高いんで、韓国とかはプロモ打ってもいいんじゃないかな、とか思ってます。
坂本:ゲームの中身とかはローカライズ以外は基本そのまんま?
松田:ローカライズ以外はそのまんまですね。ただ結構細かくローカライズしてて。ヒモ男がゴミ散らかすじゃないですか。その時のゴミとかも、例えばポテトチップスの袋とか、韓国で 1 番食べられてるポテチ(笑)
坂本:もう趣味でやってるでしょ(笑)
松田:まじめに言ったけどすごい遊んでます(笑)。飲み物のペットボトルとかも韓国でよく飲まれてるやつに変わってますね。
坂本:細っけぇー(笑)。でも作ってるとよくありますよね、仕上げの段階に入ると「ここもこうすればいいんじゃないの」みたいな細かいところがすごい気になり始める(笑)
田辺:そうなんですよね。最後の最後でよくわかんないところにこだわりが出る(笑)
坂本:さっきまで売上とかビジネスライクな話してた割には最後には、ものづくりの人の顔になりますね。
松田:こだわりが出ちゃう(笑)
坂本:GOODROID は会社としてはどこに向かっていくんですか?
松田:そもそも立ち上げの時から、あんまり「これをやれ」みたいな会社ではなかったんですよね。「何やってもいいぜ」みたいなスタンスだったんで。
坂本:最初は「子会社を立ち上げる」っていうところから始まったんですか?「アプリをやろう」みたいなテーマは決まっていた?
松田:テーマも決まってなかったですね。「僕が子会社をやる」っていうのしか決まってなかった。ただ、もともと「ものづくり」をやってきていたので、BtoC の分野でやりたいな、というのはありました。
坂本:松田さんは CyberAgent に新卒で入ってますよね。何年目の時に GOODROID を始めたんですか?
松田:7年目かな、多分。
坂本:人事とかから「お前、子会社作るから社長やれ」みたいな感じで来るんですか?
松田:ウチだと藤田社長から直接ですね。
坂本:“打倒高場“だ、とかそういう指示もなく?
松田:特にないです(笑)
坂本:このニュアンスは記事で伝わるかなぁ(笑)
松田:でも、みんな気になるところではありますよね。CyberAgent ってこれだけ子会社立ち上がってるけど、どういう経緯で立ち上がってるのかなとか。
坂本:そうそう。藤田社長はメディアとかを通じて「戦略的にこの事業をやるぞ」みたいなメッセージを出されるじゃないですか。今だったら AbemaTV に思いっきり突っ込んでんなぁ、みたいな。でもあれだけ子会社があって、どういう経緯で、誰が意思決定して立ち上げてんのかとかって、よく分かんないですね。
松田:基本は戦略ベースで決められていて、例えば「動画広告流行ってる」って話から、動画専門の代理店 CyberBull を立ち上げたりとか。やはり「これをやろうぜ」って戦略があって子会社立ち上がることが多いですね。でも一部「子会社だけ立ち上がって、やること決まってない」パターンがあるんですよね(笑)
坂本:会社的には若手の登用が目的とか?
松田:そういう部分ももちろんあるでしょうね、若手の登用。僕とかどっちかというと全然若手じゃなかったんですけど(笑)
坂本:一般的に見れば相当若手ですけどね。だって当時 28, 9 とかですよね?
松田:28 とかですね。一般的には若手なんですけど Cyber の中だともう中堅もいいとこなんで。
坂本:なんで藤田さんの目に止まったんですか?高場さんの同期だからですか?
田辺:それを絡めたいんですね(笑)
坂本:構図が面白いんで(笑)
松田:謎のライバル関係(笑)。僕の場合はもう 7 年目で、そこそこやってたのに「あいつ埋もれてんな」みたいな感じだと思うんですけど。「お前もっとちゃんとやったら」みたいな。そういう中で資本金をもらって子会社の設立に至りました。
坂本:札束が両手に持てるぐらい?
松田:その例えよく分かんないです(笑)。で、その中でできることっていうのを考えた結果が、少ないコストで沢山作れるカジュアルゲームだったっていう。
坂本:CA グループでカジュアルゲームって、確かに珍しい感じありますね。その時ほかにカジュゲやってる子会社や部署ってありました?
松田:ないですないです。一個もないです。なのでみんなキョトーンとしてました。
坂本:「え、カジュアル?」みたいな?
田辺:「え、そんなん大丈夫なん?」みたいな(笑)
坂本:CA の子会社って確か、ランキング制度みたいなのありますよね。他の子会社と比べられて、結構プレッシャーってあるんじゃないですか?見られるのって、売上でしたっけ利益でしたっけ?
松田:営業利益ですね。営業利益順に毎月報告しないといけないんですよね、状況とか。だからやっぱり段々プレッシャーが出てくるんですけど。立ち上げたばっかりの時は「カジュアルゲーム作ります!今 “もやしを抜くゲーム” 作ってます!」みたいに言ったらみんな「え?どうしたの?」っつって(笑)
坂本:アタマ触れたか、みたいな(笑)
田辺:「ヤバい奴いるよ」みたいな。
松田:それが意外と初月にポーンって 1,000 万円売れて、大した人数でやってなかったので 2 ヶ月目で単月黒字出し、ドヤ、最速だろ!と(笑)。その中でカジュアルゲームを作ってただけなので、これから何をやるかは全く制約無いです。自分たちの持ってるキャッシュの中で、面白そうであったり「ここチャンスあるな」みたいなのあれば、それこそ BtoC に限らず BtoB でもいいし。
坂本:別になにやっても良いんですね。
松田:可能性のある事業であれば何やってもいい、本当に。
坂本:前ぼくがブログで書いてバズった記事で書いたんですけど、でっかい企業が例えばスタートアップ買収したりとか、新規事業始めたりってやると、でっかい企業の意思決定に引きずられるじゃないですか。大きい 100 億円の事業を 1% 伸ばすほうが、100 万円の事業を 10 倍にするよりも簡単だしインパクトあるし、じゃあそっちにリソース割こうよってなりがちだと思うんですけど。
(参考: 大企業に買収されたスタートアップに関する悲劇あるいはおとぎ話)
坂本:大きい会社の中にいることによって意思決定難しかったりすることとかってないですか?
松田:子会社によりますね。戦略事業をやる子会社だと、本社の戦略に大きく左右されますし。僕らだと本当に超自由です。細かい報告とかもほとんどしてないですもん。1 ヶ月に 1 回、事業責任者の会議の時に報告するくらいで。基本的には黒字になってるし、資本も問題ないし、「自由にやったら?」みたいな。
坂本:へぇー。足かせとかないんですか。例えば外部でプレゼンするとか、イベントを主催するとかってなると、広報通さなきゃダメとか、セキュリティ大丈夫?とか、まずディフェンスから入るみたいなのがあったりしたんですけど。
松田:今はしがらみとかもほとんど無いです。自由にできるので、それこそ田辺が全然ヒット出せない時とかは、「田辺くん、かき氷屋さんとかやったほうが良いんじゃないの」みたいな(笑)
田辺:ゲーム作りの現場から見ても、あれやれとか、これやるなみたいなのは、一切無いですね。
松田:「こういうのやろうぜ」っていう提案は、プロデューサーでもデザイナーでもエンジニアでも出していいし、勝算があれば全然やっていこうって。
坂本:それこそゲームじゃなくてもいい?
松田:ゲームじゃなくてもいいです。
坂本:会社の基幹戦略をやるために出来た会社ではないから好きにできる?
松田:多分、逆に好きにやらしといたほうが、意味不明なことして一発当てる可能性があるんじゃないかって、そういう戦略なのかもしれないですけど。
坂本:あーなるほど。会社としてはきちんとやってこれくらい伸ばすけど、そこを下ぶれさせないならギャンブルしていいよみたいな(笑)
松田:そうですね。ぼくらに求められてるのって「CyberAgent にとって想定外の大ヒット」を生み出すことだと思うんですよ。ちょっとした利益を出していても仕方がない。全社から見ると、例えば僕らが 1,000 万円売れたって言っても超ちっちゃい話なんですよ。
坂本:グループ全体からするとそうですよね。
松田:そういう意味で言うともっと大きな賭けをして、それこそ Crossy Road みたいなの作れると、CA にとってもデカいじゃないですか。
坂本:「全然注目してなかったけどなんか当ててくれたぜ」みたいな(笑)
松田:そうそう。想定外のことが起きると僕としてもしてやったりというか。やっぱり最初に思ったのが「もやし」の海外のヒットですよね。CyberAgent が攻めあぐねた海外で。「あれ見た?もやしのやつ1位になってっけど!」みたいな(笑)
田辺:「意味不明!」みたいな(笑)
松田:僕らとしてもそういうのを出していけると一番いいかなと思って。もちろんカジュアルアプリこれからもやりながら、ホームランを何回打てるか。
坂本:なるほどね。
坂本:会社って言うよりも今度は松田さんだとか、社員の方のモチベーション・やりがいみたいなところを伺いたいんですが。例えばトランスリミット高場さんとかは、独立していて資金も調達していて、事業が当たったら、個人の資産的な意味でも一発ありえるじゃないですか。100% 子会社だと、仮に Crossy Road 出しても松田さんが億万長者にはならないじゃないですか。
松田:嫌な話しますね(笑)。
坂本:いやいや(笑)、大事な話ですよ。何がモチベーションになっているのかなぁって。上手く行った時に松田さんは CyberAgent から評価されて、本社の役員陣の中に入るみたいなところがモチベーションなのか、それをステップにして将来的には自分でゲーム会社を作りたいんだとか、野望みたいなのってあったりするんですか?
松田:難しいところですね。僕の場合、あまり偉くなりたいとか、個人のお金を稼ぎたいっていう欲求がそこまで無くて、とにかく面白いサービスを作って世界的な大ヒットを生み出したい気持ちの方が強いんです。
坂本:だって今の格好見ればね。お金かからない格好ですもんね。短パン・T シャツ・サンダル(笑)
松田:しかも「しまむら」だし(笑)。全身で 1 万円もかかってないですからね。
坂本:しまむら!(笑)
松田:T シャツしまむら、短パンしまむら、サンダルは United の人からもらったやつ(笑)
坂本:しまむらって僕的にはユニクロよりも階層下なんですけど、認識合ってます?
松田:合ってます(笑)
坂本:「最近実はしまむらスゲーよ」みたいなアピールあります?
松田:えっと…特にないです(笑)。T シャツちょっと大きめが好きので、しまむら結構 3L とかのサイズが揃ってるんで良いですね。
坂本:確かに、ユニクロ大きめサイズ少ないですね。
松田:そう、少なめなんですよ。それもあってしまむらを着てるんで。僕ほんとプライベートあんまりお金使わないんで。
坂本:お金使わなさそう。
田辺:松田は三茶 (三軒茶屋) に住んでて、僕も三茶に住んでるんですけど。
坂本:2 駅ルール。
田辺:そうです。三茶でほぼ会ったこと無いんですけど一回だけしまむらの前で見たことがあって(笑)
松田:あれは違うよ、あれは銀だこを買いに行ってたの。
田辺:あんまり変わんないじゃないですか(笑)
松田:銀だこのゴールドカード持ってるから。めっちゃ使ってるから。
坂本:そんな行ってるんだ銀だこ(笑)
松田:銀だこくらいで結構贅沢したなくらいのスタンスなんで(笑)
田辺:たこ焼きにしては高いですからね。
坂本:たこ焼きにしてはね。6個で500円くらい。
松田:高っけ!みたいな(笑)。それで満足なんで、個人のお金でウン億とか持ってても多分あんまり変わんないんで…
坂本:使いみち無いわ、みたいな。
松田:使いみち無い、ホントに。どっちかというと、なんか若干偽善っぽい感じするけど、リアルに世界で流行るようなサービスを作りたいっていうのが一番デカいかもしれない。
坂本:当てたぜっていう充足感を得てみたい、と。
松田:そうですね。「コレ俺作ったぜ!」って、キャバクラでモテたい(笑)
田辺:全部キャバクラで使ってるんじゃないですか(笑)
坂本:キャバクラ行くんだったらもうちょっといい服着たほうが良いんじゃないですか(笑)しまむらだと(笑)
松田:この格好で行と、キャバ嬢とかもドリンク頼みづらくなるでしょ「この人お金ないから…」
坂本:確かに(笑)
田辺:そういう狙いがあるんですね(笑)
松田:本当に世界でヒットするようなサービスを作りたいというのが一番ですね。その先にもしかしたら何か欲求が出てくるかもしれないですけど。
松田:ただ本当に今、超自由にやらせてもらってるので、その中でうまくやりくりしながら、社員みんなが楽しく過ごせたら良いなっていう。
田辺:でもせっかく儲けたら、カオスなオフィス作りたいね、みたいな話はちょくちょくしてます(笑)
松田:僕はハワイに拠点を作って、たまに Chatwork とか Facebook のメッセージとか見て、たまに稟議だけピンって決裁するみたいな、ハンモックに揺られた生活したい(笑)
坂本:その社長要らないな(笑)
田辺:他社さんのオフィスとか見たりして色々参考にしてますね。「この部分はいいね」みたいなのとか。
松田:「ここパクろうぜ」みたいな(笑)
坂本:妄想楽しいですよね(笑)
松田:そういう意味で言うと、僕だけって言うよりはメンバーも含め 15 人弱とかくらいで「みんな会社作ろうぜ」みたいにやってるっていう感じですね。
坂本:親会社が CyberAgent だってだけで、やってることはスタートアップ。
松田:完全に外部のスタートアップと同じだと思いますよ。
坂本:最後に言い残したこととかありますか?
松田:俺は大丈夫かな。キャバクラのくだりだけカットして欲しい(笑)
坂本:そこは載せます(笑)。ありがとうございました!
長かった!以上!
Q
ということで、ゲームの企画・開発や経営について、創業メンバーのお二人である松田社長・田辺プロデューサーに、たっぷりお話を伺ってきたよ!
めっちゃ長い!!
まずは PR
坂本:いつも AppLovin を使っていただきありがとうございます!
松田・田辺:あざす!!
坂本:SSP 経由で使われているケースがほぼ全てだと思いますが、どのアドネットワークが良いとかって話は SSP から聞かれてるんですか?
松田:聞いてますよ〜。収益性については AppLovin が一番いいです!
坂本:それだけ聞ければ満足です!!
コラボ企画の作られ方
坂本:あらためて「坂本ですが?」、リリースおめでとうございます。
松田・田辺:ありがとうございます!
坂本:ぼくのアプリが出るってことで(笑)、楽しみにしてました。
坂本ですが? - 秘技 フリータイムキラー
坂本:今回は漫画・アニメが題材で、他にも YouTuber コラボとかもよくやってますよね。あれって基本 GOODROID さんのほうからコラボしましょうよって提案しに行ってるんですか?
松田:全部僕らから行ってますね。今回「もやしびと」とはじめしゃちょーでコラボするんですけど、それとかも元々はじめしゃちょーが「もやし」ってニックネームで呼ばれてるってところから思いついて。
(一同笑い)
松田:ベストマッチングじゃないですか。
坂本:たしかに!
「もやししゃちょー」事前予約中
5 月末リリース予定
田辺:で、ウチはもやし業界 No.1 ゲームを持ってますって(笑)
松田:先方も「おお、面白いねw」みたいな(笑)
坂本:もやしゲーム業界はもう圧倒的ですよね(笑)。海外にも出てるぐらいですからね。
もやしびと -完全無料!放置型もやし育成ゲーム-
坂本:過去に出されたゲームですが、今回は新しいタイトルとして出すんですか?ゲームの中身とかは変えられるんですか?
松田:ゲーム性はほぼ一緒なんですけど、追加で動画広告の出し方が変わったり、課金要素が結構入ったりするんですね。
坂本:今風にアレンジされるわけですね。
田辺:ストーリーとかも入ってますね。
坂本:もやしびとにストーリーが(笑)。良くも悪くも楽しみです。
田辺:結構いい出来になってますね。
松田:先週末にはじめしゃちょーの動画で告知してもらったんですけど、もう 200 万再生くらいされてるんですよ。
坂本:えー!
松田:「予約トップ10」も一瞬で 1 位になってました。
坂本:まじっすか。いやトップ YouTuber は すごいですね。
坂本:コラボ案件は、基本レベニューシェアですか?
松田:基本レベニューシェアでやることが多いですね。
坂本:YouTuber も IP ものも、人気のとことかゲーム化しましょうみたいな引き合いって他からもあるんじゃないかなって思うんですけど。
松田:坂本ですが?に関しては僕らが初めてだったらしいですね。
田辺:それでもやししゃちょー…あ、はじめしゃちょーの方は
(一同笑い)
田辺:はじめしゃちょーの方は、もう既にいくつか出してました。
坂本:UUUM さん結構コラボやってますもんね、ゲームで。
田辺:はい。UUUM さん的にも、新しいサービス沢山作ろうぜって感じなので。
松田 和彬
2009 年 CyberAgent 新卒入社
ソーシャルゲーム部門の事業部長 / プロデューサーを経て、2014 年に CA 100% 子会社として GOODROID を設立、代表取締役に就任。
松田:僕らとしては開発力とかクオリティでは、カジュアルゲームの業界において負ける気がしない、というスタンスなので。
坂本:おっしゃる通り、GOODROID さんはカジュゲー界ではトップクラスですよね。そもそも昨今では、競合が少なくなっちゃったみたいなところもあるし。
松田:そうですね(笑)。もちろん、大きいソシャゲの会社とかとは比較にならないですが(笑)。
坂本:あっちはかけてる予算が何億の世界ですからね(笑)
松田:こちとら!(笑) 相変わらず 2, 3 人くらいで 1.5 ヶ月くらいで作ってたりするんで。
坂本:開発費で言うと 100 万、200 万円とかのオーダー。
田辺:そうですね、200 万円くらいですね。
坂本:そう考えると相当高利益率ですよね。運用もそんなに必要ないタイトルばっかりじゃないですか。
設立から 1 年半で 30 本以上をリリース |
坂本:アプリごとの売上は、前セミナーでおっしゃってましたけど、ヒットしてるやつだと何千万円とか。
松田:ああいうの出ると、相当な利益率ですね。
坂本:でもそうじゃないのもちょいちょいある?
松田:ありますね。この前 AMoAd 主催のセミナーで、意外と厳しいぜって話をしたんですよ。
GOODROID でさえ意外と厳しいカジュゲーの世界
松田:1 本開発するのに大体 200 〜 250 万円かかって、さらにプロモーションコストで 50 〜 100 万円乗っかったりして。
坂本:原価が 1 本大体 300 〜 350 万円くらい。
松田:それをリクープできるゲームって僕らでも…何個?10 打席で 1, 2 安打とか。
坂本:意外とそんなもんなんですね。
松田:結構色んな人から、意外でした!って言われます。
坂本:だって毎回出すタイトルがエッジ効いてますし。松田さんの Facebook ではもう間違いなく盛り上がるじゃないですか(笑)
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田辺:少なくとも毎回、完全にバットを振り切ってますね(笑)。でも結構空振りも多くて、アレ?みたいな(笑)
松田:通算売上13万とかそういうのありますからね。数ヶ月で13万しか売れなかったとか。もう余裕で大幅赤字(笑)。どうしようみたいな。
坂本:そういうのもあるんだ。
松田:こういうのもけっこうあるんですよね、やっぱり。あと、通算 40 万円しか売れなかった横スクロールのゲームとか。もちろん出すときには、僕らは「多分、Crossy Road くらい行くんじゃないかな」って。
坂本:それはヤバい(笑)。10 億円稼いじゃう。
松田:それくらいの気持ちでは作ってたんですけど、おかしいなあと。気合で 100 ステージくらい作ったのに(笑)
坂本:めっちゃ頑張って作ってる(笑)
松田:そういう意味では「ヒモ男」の売上くらい行くと、相当利益率は良いんですけど、そういうのが出る確率っていうのがかなり低いですね。
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坂本:なるほどね~。5 本に 1 本当たって、ハズレの売上を仮にゼロとして、5 本作る原価が 1,500 万円だから、当たったタイトルが 1,500 ~ 2,000 万円ぐらい売上が出てようやくリクープかな? みたいな感じですかね。
松田:そんな感じですね。全部のアプリが「ヒモ男」ぐらい売り上がってくれたら、どんだけもう…ウハウハ(笑)
坂本:ヒットしてもそこまで行くか行かないかって感じですか。
松田:っていう感じですね。
坂本:でも、全部基本的にはヒットするでしょって思って作ってはいるんですか?
田辺:そうですね。その気持ちで出してます。たまにありますけどね、なんか…無理めだな!みたいな(笑)
坂本:ここで止めれないから出そっかみたいな。
松田:行くしかない、っていう時はあります。それこそ「ヒモ男」のモチーフとかも正直読めなかったんですよね。本当に行けんのかな?みたいな。プロデューサーは女の子だったんですけど、いかんせん僕ら、おっさんばっかの会社なので(笑)
田辺:女性向けタイトルって判断がすごい難しいんですよ。これ本当に女の子に刺さるのかな?って。
松田:僕とか田辺だと判断つかない時もあるので。これどうなるかなー?っていう感じで出してみたら、意外とヒットした、みたいな。
企画立案・検討・開発に至るプロセス
坂本:企画は現場とか、プロデューサーの方から上がってくるんですか?それとも松田さんからトップダウンで「こういうモチーフで作ろうよ」って指示を出すんですか?
松田:両パターンありますね。エンジニアとかデザイナーも含めて、企画を出すスプレッドシートみたいなのがあって、そこにわあーって企画を数百案くらいドーンってリストアップしてあるんですよ。
坂本:へぇ~。1 つ 1 つの企画はどれぐらい練られているんですか?
松田:そのスプレッドシート上ではまだ、ほんとモチーフだけですね。「ヒモ男のゲーム」とか、それくらい(笑)
田辺:「野球拳だけど着膨れしていく」とか。
松田:「人間の脳をグチュグチュするゲーム」とか…
田辺:で、たまにその中に光るものがあったりもするので、そこから膨らます。「ヒモ男」は、膨らますと可能性あるかもね、みたいに。
松田:そういうのが本当にない時にはもちろん、どうしよっかってプロデューサー内で話すんですけど。プロデューサー以外にも、誰がどういうアイデア持ってるか分からないですからね。
坂本:どれくらいの案が母数として出てきて、検討段階まで行くのはどれくらいで、開発プロセスに入るのがどのくらいで、そこから何割ぐらいリリースされますか?よく Supercell とかって、作ってもダメだと思ったらリリースしない、とかって言うじゃないですか。
田辺:案出しの時点ではすごく雑で、たくさん出す。次の段階で一気に数個に絞られる。
松田:100 個くらい案を出すのは結構早いんですよ。みんなから集められるので、2, 3 日もあれば。
坂本:それを松田さんとかプロデューサーの方とかが、面白そうなやつを見繕って、数を絞っていく?
松田:そうですね。そこから深掘っていきます。「ヒモ男」でゲーム作るとしたら、どういうのできるっけ?みたいな話をしていって、上手く練れたものだけを実際には開発していくという感じです。
田辺:意外とモチーフが決まっちゃえば、そこからはトントンと進んだりするんですよね。
坂本:例えば「ヒモ男」でいうと、最初「ヒモの男をテーマにしよう」ってのが決まるわけじゃないですか。そこから練っていく流れはどんな感じですか?
松田:そうですね...ヒモ男なんで「養いたい欲求」を満たしてあげれるようにしよう、そうなると放置育成ゲームで、ヒモ男だからゴミを散らかすよなぁ、それを片付けタスクを入れよう、みたいな…
坂本:ヒモ男をいわゆる「放置育成ゲームのテンプレ・フレームワーク」に当てはめて、ユーザーが単純タスクをするところは「ゴミの片づけ」だよなぁ、みたいなふうに落としていって?
田辺:だいたいの流れはそんな感じです。
松田:それだけだと面白く無いから、成長していく過程で分岐を作りたいねみたいな話になり、その分岐の先っていうのが、ヒモ男を育てた先に「どんどんダメ男になっていく」パターンと「更生していく」パターンあるじゃないですか。どっちが面白いかなぁみたいな。
田辺:もちろん両方入れて良いと思うんですけど、僕らの感覚だけじゃなく、女性プロデューサーとかも含めて一緒に話し合って。
坂本:そこまで話し深掘っていって、「これは確かに面白そうだ」ってなったら開発に進むみたいな。
松田:そうですね。熟考してその企画自体を詰めていってる段階というのは多分 1 週間かかってないと思うんですよね。3 日とかでとっととまとめて、とにかく作ろう!みたいなスタンスになるんで。
坂本:その段階で、仕様はどれくらい固めてから開発に進んでるんですかね?今の話だと、わりかし主要なところの仕様って決まってそうな感じあるんですけど。
松田:マジで本当に、スゲー固まってないです。ウチの開発のスタイルなんですけど、「ネオアジャイルスタイル」で開発してて。
ネオアジャイルスタイル!?
坂本:ネオアジャイルスタイル?
松田:アジャイル開発って、仕様検討と開発が並行で進む。ネオアジャイルは、仕様固まってないけど、山のこっちから仕様検討、反対側から開発で、一緒にトンネルを掘り出すみたいな。
田辺:一緒にトンネル掘っていくんじゃなくて、エンジニアはもう仕様が固まる前から既に作り始めて。どっかで向こうからも掘ってくるから、合うでしょ、みたいな(笑)
奇跡的に出会えるのを願う!
※良いディベロッパーさんは真似しないで下さい(笑)※
坂本:意味がわからない(笑)
田辺:合うポイントがあるんですよ。
松田:エンジニアは、もう「育成ゲーだからこのフレームワーク使うでしょ」「これっしょ!」みたいな(笑)
田辺:決まってる部分からやっていくみたいな。
坂本:それすごいですね。ある意味、過去に同じチームで開発を積み重ねてきてるからできる技ですね。
松田:実は僕、ソシャゲ作ってる時からそれやってたんですよ。だってソシャゲとか、例えば、絶対ガチャあるじゃないですか。レアガチャとか演出あるよねみたいな。絶対図鑑とかあるし、デッキとかもあるわけじゃないですか。じゃあ「仕様待ってないで、作ろう!」みたいな(笑)。その隙に仕様固めるからって…。
田辺:開発でいうと、ある程度動くものをモックとして作って、そのあとアルファ版・ベータ版って作っていくんですね。そのモック期間の終わりから、アルファ版の開発終わるくらいまでには、全体の仕様固まってるといいな〜くらいの目安。
坂本:固まってるといいな~、って(笑)。その後もどうせ変更とかはあるでしょう、みたいな。
松田:もう開発において、途中で仕様変更があるのってある程度しかたない部分があると思ってるんで。仕様変更が発生したら、「よっしゃあ」みたいな。スケジュールはズラせないけど乗り切っていこう!っていう、よくわかんないですよね(笑)
田辺:常にバッファを 2, 3 日持った状態でスケジューリングしてるみたいなイメージですね。
坂本:おもしろいなあ。
田辺 康樹
2014 年 CyberAgent 内定者時代に GOODROID 立ち上げ、2015 年新卒入社。約 1 年半で 11 本のサービスをリリース。
松田:仕様書とかもそんなにすごいパリッとしたものがあるかと言われると全然なくて、
田辺:過去のタイトルの横展開のものとかも最近だと出てきたりしてますし。
松田:僕が好きな田辺の仕様書があるんですけど、チュートリアルって普通、結構細かく仕様とか作るじゃないですか。
坂本:普通そうですね。
松田:田辺の仕様書のチュートリアルこれですからね。
松田:「一連の流れを説明」ってこれで終わってますからね。
坂本:スライド 1 枚にww 2 行しかないwww
松田:これでチュートリアル作んないといけないんですよ、デザイナーとエンジニア(笑)。何の仕様でもないですからね。「一連の流れを説明」……ってそれ「『チュートリアル』の意味だわ!」みたいな(笑)
田辺:言葉の定義ですよね(笑)
坂本:なんなら広辞苑とかの方がもうちょっと詳しく書いてる(笑)
田辺:もう勝手に作っておいて、デザイナーとエンジニアさん~みたいな。
松田:ただ、彼は常に 4 件くらい新規同時に立ち上げてたりするんで。
坂本:開発ラインって何本くらい同時に走ってるんですか?
松田:プロデューサーは今、田辺と、女性プロデューサーと、最近入った新卒 1 年目の子の合わせて 3 人しかいない。
坂本:その新卒の子もえらいところきたって思ってるでしょうね。
田辺:よく来たなって思いますね(笑)
坂本:これが普通の開発現場だと思ってもらっちゃ困りますよね(笑)
松田:なので同時進行で開発してるのは全体で 5, 6 個くらいですね。そのうち 3 つ 4 つを田辺がやってたりします。
坂本:1 人で 3 つ 4 つですか。相当多いですね。
松田:そうですね。プロデューサーの性格とかもあるので、田辺は「雑に数こなす」のが得意なのでそれだけ多くやるんですけど(笑)。もう一方の女性プロデューサーは「丁寧に確実に」当ててくるっていう感じなんで。「ヒモ男」も彼女がプロデューサーでしたし、外しが少ないっていう感じです。ちゃんと当ててきます。田辺はめっちゃ空振ります(笑)
坂本:でも打席にめっちゃ立ってる。
松田:めっちゃ打席に立たせます。体力すごいあるんで(笑)、打席にだけめっちゃ立ってる。
田辺:その弊害がコレっていう(笑)
坂本:新しい…新しすぎる(笑)
田辺:なんでスクショ撮ってるんですか。
松田:いやね、俺もう田辺好きすぎて、田辺フォルダっていうのがある(笑)。田辺の伝説がまとまったフォルダ(笑)
「田辺フォルダ」から愛を感じる 1 枚
ネタを継続的に出し続ける秘訣
坂本:田辺さん、打席に立ち続けるための Tips って何かあるんですか?かなりエッジ効いたタイトルをバンバン出されてると思うんですけど。ネタがいいからもう後は肉付けするだけなのか、それとも田辺色がけっこう出ているのか?
田辺:僕の色が出てるって感じではないなって思っていて、どちらかと言うと結構 2 ちゃんねるとか、バズりそなネタを常日頃探してるみたいな感じです。
坂本:まとめブログずっと見てますってことですか、要するに(笑)
田辺:めっちゃ参考になります(笑)
松田:流行ってそうなもの発見したらすぐ食いついてきますよね。
田辺:このマンガがドラマ化されます!とか。
松田:今日とかだと「あれ見た?『ウシジマくん』がまたドラマと映画に!」って。
坂本:だからまた「ヤミ金」やろう、みたいな(笑)
松田:「ヤミ金業界 No.1 アプリ」ウチあるけど~みたいな(笑)
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坂本:「闇金」も結構息長いですね。
松田:「闇金」は長いですね。「闇金」の場合実は、業界の裏話につき自主規制
坂本:あー(笑)自主規制
田辺:なので、まとめサイトとか見つつ、そこからモチーフとか引っ張ってきて、そのモチーフに合わせるゲーム部分とかをまた別に考えていくみたいなパターンが多いですね。
坂本:ゲーム性の部分についてですが、ご自身でもゲームはやるタイプですか?
田辺:アプリのゲームは結構やりこんでる方だと思います。特に参考になるのが多いので海外系を結構やってます、ダウンロードランキングに載ってるものを中心に。ものすごい単純なのにずーっと上位にあり続けてる海外のアプリとかあるじゃないですか。
坂本:ありますね。
田辺:そういうのが本当に超カジュアルゲームだったりするので。「あ、この動き単純に気持良いな」みたいなのは常に触って、松田とかにも共有して「これ気持ちよくないですか」みたいな話をよくします。
坂本:なるほど。モチーフのところはマスメディアとか 2 ちゃんとかからのインプットがあって、海外ゲームとかからインプットしたゲーム性と上手く組み合わせてる、と。
田辺:そうですね。モチーフの方はできるだけエッジの効いたものにするよう心がけてます。
松田:やっぱりインストールされないと、どんなに良いゲーム作ってもダウンロードされないとやっぱり意味ないので。とにかく最初にアイコンのイメージとか、タイトルとか。こういうタイトルにするとユーザー入りそうだな、とか。
坂本:それは ASO (App Store Optimization = アプリストア最適化) や検索対策の観点というよりかは、単純にユーザーの心に引っかかりそうかどうかっていう観点?
松田:ネタとして、ですね。それとかはやっぱり考えてます。いざストアに並んだ時こういう感じになって、他のアプリと並べた時にハッて引っかかるぞ、みたいなイメージをしながら。
田辺:モチーフが凡庸だとやっぱり難しいんですよね、ゲームとしては。
坂本:それはありますね。日本のゲームでも、面白いし、触り心地みたいなところとか含めてもクオリティは高いんだけど、だけどそれ以上にグッとはこない、みたいなのはあります。逆にネタだけがキャッチーでも、触り心地とか細かいところが雑な作りになっててもダメだし。
松田:僕、ソーシャルゲーム作るんだったら「もやし」のソーシャルゲーム絶対作らないんですよね。流石にやっぱり開発コストもデカイんで、もっとマスを取りに行くんですけど。それこそドラゴンなんたら!みたいなの。
坂本:パズル & モンスター・戦国ドラゴンストライク!みたいな。
松田:カジュアルゲームって良くも悪くもポンポン沢山出せるっていう特性があるので、ココ狙いって絞ってエッジを立てて、ドン!ドン!っていうのを色々作っていく方が合ってるなあと。
なにをもって「成功」したゲームと言うか?
坂本:会社的に、または GOODROID 的にこれくらい当たればヒットだなみたいなラインってあるんですか?ダウンロード数なり売上なり。
松田:僕らは事業としてやってるんでやっぱり売上で判断してます。初月の売上で 300 万円行くとそれだけでほぼリクープできるようになってて、それでプチヒットくらい。初月の売上が 500 万円超えると中ヒットくらい。1,000 万円超えてくるとカジュアルゲームとしてはすごい当たったなみたいな。500 万円以上の数を増やしたいなという感じですね。
田辺:逆にここ届かないと、キツかったな、と。
坂本:っていうのが基準になるんですね。会社としては基本カジュアルからミッドコア手前くらいまでをずっと攻めていくつもりなんですか?
松田:カジュアルゲームって良いところもあり悪いところもあるんですね。やっぱり、1 タイトルで継続的な売上を作るのが難しいんですよね。
坂本:基本的にはリリース直後に売上の山が出来て、その後すぐ 0 に近づいていく。
松田:そういうビジネスモデルもアリなんですけど、中々しんどい部分もある。なので、引き続きカジュアルはやりつつ、今ちょうど開発リソースの大体 ⅓ とか半分近くを使って、もうちょっと大きめの、ユーザー的にはソシャゲって思うだろうなっていう見た目・規模のものを作ってます。開発期間も半年ぐらいかけて。
坂本:へぇ~。「ユーザー的にはソシャゲって思うだろうな」っていう表現がすごい気になるんですけど(笑)、自分たち的にはこれはソシャゲじゃないって思ってるんですか?
松田:まぁ課金も綺麗に入ってるし、イベントとかも普通にできるし、ユーザーとしては「これ普通のソシャゲやん!」って思うでしょうけど、裏側の作りが。
坂本:といいますと?
松田:カジュアルゲームで培った、ランニングコストが余りかからないような作りになってるんですよ。サーバーとかも含めてコストが極めてかからない作り方が出来るんですよね。やっぱり僕も、ソシャゲの経験を経て、その後カジュゲでアクセル踏んできたからこそ行き着いた、分かったことです。
坂本:ずーっとソシャゲだけ開発していると、高コスト体質が普通のように思えてくると。
松田:そうですね。たぶん 9 月とかには出せるかなと思ってるんですけど、これが仮に上手くいくと、結構新しい例が作れるなと思ってます。半年くらいで作って、継続的に収益が上がって、収益は広告よりおそらく課金のほうがドーンってでかくて。
坂本:(課金:広告が) 8:2 とか。
松田:っていうのをいま挑戦中っていう感じですね。
坂本:面白いですね。カジュゲ作ってる会社はどこもそういう流れになるんですかね。イグニスさんとかも、ずっとカジュアルとか、もっと初めの方はツール系だったじゃないですか。で、課金・広告ハイブリッドの「breaker」とか当てて。
breaker -30秒でどこまで壊せますか?ブロック崩し- (イグニス)
田辺:そうでしたね。
坂本:それと同時並行くらいで「ぼくドラ」当てて、今はリソースもソシャゲの方に多く割いているのか、カジュアルタイトルは最近あまり出してない。やっぱり事業としてやっていくとそうなっていくんですかね。
松田:と思いますね。
CyberAgent 子会社社長の実態!
坂本:松田さんは今までの話では、いちプロデューサーな感じですけど(笑)、一方で CyberAgent グループ子会社の社長なわけじゃないですか。その立場からするとカジュゲ特化型はやっぱりキツいんですか?
松田:そうですね。ぼく最初に子会社を立ち上げて、1 ヶ月くらいで出した 1 本目の「もやしびと」が初月 1,000 万円、半年くらいで 5,000 万円くらいの売上になって。全部それが出るんだったら絶対カジュアルゲームやったほうが良い(笑)。でも、そんなオイシイ話続かないじゃないですか。
坂本:300 万円で作ったものが 5,000 万円になって。
松田:ほとんど運用かからず。それを量産しまくれるて言ったらもうこんな良いビジネスモデルないですよ(笑)
坂本:確かにそうですよね。そのクラスが毎月 1 本出てれば年間で売上 6 億?良いビジネスですよね(笑)
松田:おそらく営業利益率、ヘタしたら 80% とか(笑)
坂本:ユニコーンは行かないけど、結構良い valuation で上場できるよねみたいな(笑)
松田:そうですね、すぐ上場できちゃうな~って感じなんですけど(笑)。まあ 1 年間カジュアルゲームやってみて、導き出した結論は「意外と当たらない」っていう。「もやし」っていうのは奇跡で一発目当たっただけだっていう(笑)
坂本:なるほどね。
松田:やっぱり 1 本くらいは継続的に収益がずっと上がるようなタイトルが欲しい。
坂本:安定的に収益上がるのタイトルが 1 個あって、その上で博打を打つと。
松田:それで博打のほうでも時々ヒットしたらデカいなって思ってて。僕らもものづくりに携わるものとしては、もちろん売り上げあげたいっていうのもありますけど、世界で大ヒットするよなアプリ作りたいなっていうのがすごいあるんで。
坂本:なるほどね。
松田:そうなるとやっぱり僕の同期の高場くん (※) がやってるトランスリミットとか、世界で何千万ダウンロードってされていて。
(※ 高場 大樹さん = Translimit 社 創業社長)
Brain Dots (Translimit)
ダウンロード数は 2000 万以上
坂本:あっそうか、同期なんですね。
松田:そうなんです。僕と新卒同期なんで。ああいうのは、ものを作る人として「こういうの俺も作りてぇな」っておもうし。
坂本:「世界で 2,000 万ダウンロードされたぜ!」ってドヤ顔したいですよね。
Forbes Japan 6 月号より
(勝手に Facebook からドヤ顔拝借しました)
松田:したいですね。でもそういうゲームってどっちかというと、ソシャゲよりは、ひょっとするとカジュアル系の領域からのほうが出しやすいんじゃないかなって思ってて。カジュアルゲームちょこちょこ作ってるのも、そういうのを狙いたいなって思ってるんですよ。
坂本:まだ当たってないけど、1 発当たった時に逆転満塁 100 打点ホームランみたいなのが、「世界だったら出んじゃね?」と。
松田:Crossy Road 作れたらもう…ね、終わりだし(笑)
坂本:確かに(笑)
田辺:めっちゃナンバリングしますよね。2, 3 って続編作りまくる(笑)
松田:こういうところ!こういうのが安直なんですよ(笑)。良い所でも悪いところでもある。
(一同笑)
松田:すぐ横展とかしたがる。いいやつといいやつを掛けあわせたらうまい、みたいな。寿司とカレーを一緒に食ったらうまいみたいな発想(笑)
田辺:ひどい(笑)
海外展開は甘くない!?
坂本:海外って今どれくらいやってるんですか?力の入れ方的には。「もやし」とか、いきなり韓国で当たったじゃないですか。
松田:いや本当ね、あれが良くも悪くも影響ありましたね。「あれ?海外出したら簡単に当たるじゃん」っていう体験をしちゃったので。
坂本:夢持っちゃった。
松田:そう。そのあと出した続編「もやし DX」とか、韓国も中国も台湾も全部ローカライズしたんですけど、全然鳴かず飛ばず(笑)
坂本:そんな甘い話じゃなかった。
松田:海外で課題なのはやっぱりプロモーションで、割が良いというか、簡単にリクープできそうなプロモーション手段っていうのが日本に比べて全然ない。カジュアルゲームのプロモーション結構やりにくいです。
坂本:日本だと未だにアップトーキョーに遠慮して自主規制してランキング上げてリクープ、っていうのがまだできると。
松田:それもいつまで続くかなっていう感じなので、そこがやっぱりカジュアルゲームの事業としての脆弱性だなと思ってます。
坂本:そうですね。ある程度 ARPU ないと普通のプロモーションは打てないですもんね。
松田:その辺含めて海外じゃ中々難しい。もうちょい ARPU 高いアプリが作れればプロモーションもできるなと思うんですけど。「もやしびと」とかも運で流行っちゃっただけなので、一切ノウハウが溜まってない(笑)
坂本:今までプロモーションとかで海外でやられたことはあるんですか?
松田:今のところは一切無いですね。ちょうど「ヒモ男」の韓国版ができたので、そろそろ出そっかなと思ってるんですけど、プロモーションのところは検討中です。
坂本:韓国とかは未だにアップトーキョーに遠慮して自主規制の文化もあるみたいですね。
松田:そうですね。今ちょっと探し中です。「ヒモ男」とか国内でも 1 ダウンロードあたりの収益が 100 円超えてるんですよね。結構高いんで、韓国とかはプロモ打ってもいいんじゃないかな、とか思ってます。
坂本:ゲームの中身とかはローカライズ以外は基本そのまんま?
松田:ローカライズ以外はそのまんまですね。ただ結構細かくローカライズしてて。ヒモ男がゴミ散らかすじゃないですか。その時のゴミとかも、例えばポテトチップスの袋とか、韓国で 1 番食べられてるポテチ(笑)
坂本:もう趣味でやってるでしょ(笑)
松田:まじめに言ったけどすごい遊んでます(笑)。飲み物のペットボトルとかも韓国でよく飲まれてるやつに変わってますね。
坂本:細っけぇー(笑)。でも作ってるとよくありますよね、仕上げの段階に入ると「ここもこうすればいいんじゃないの」みたいな細かいところがすごい気になり始める(笑)
田辺:そうなんですよね。最後の最後でよくわかんないところにこだわりが出る(笑)
坂本:さっきまで売上とかビジネスライクな話してた割には最後には、ものづくりの人の顔になりますね。
松田:こだわりが出ちゃう(笑)
GOODROID が向かう先とは
坂本:GOODROID は会社としてはどこに向かっていくんですか?
松田:そもそも立ち上げの時から、あんまり「これをやれ」みたいな会社ではなかったんですよね。「何やってもいいぜ」みたいなスタンスだったんで。
坂本:最初は「子会社を立ち上げる」っていうところから始まったんですか?「アプリをやろう」みたいなテーマは決まっていた?
松田:テーマも決まってなかったですね。「僕が子会社をやる」っていうのしか決まってなかった。ただ、もともと「ものづくり」をやってきていたので、BtoC の分野でやりたいな、というのはありました。
坂本:松田さんは CyberAgent に新卒で入ってますよね。何年目の時に GOODROID を始めたんですか?
松田:7年目かな、多分。
坂本:人事とかから「お前、子会社作るから社長やれ」みたいな感じで来るんですか?
松田:ウチだと藤田社長から直接ですね。
坂本:“打倒高場“だ、とかそういう指示もなく?
松田:特にないです(笑)
坂本:このニュアンスは記事で伝わるかなぁ(笑)
松田:でも、みんな気になるところではありますよね。CyberAgent ってこれだけ子会社立ち上がってるけど、どういう経緯で立ち上がってるのかなとか。
坂本:そうそう。藤田社長はメディアとかを通じて「戦略的にこの事業をやるぞ」みたいなメッセージを出されるじゃないですか。今だったら AbemaTV に思いっきり突っ込んでんなぁ、みたいな。でもあれだけ子会社があって、どういう経緯で、誰が意思決定して立ち上げてんのかとかって、よく分かんないですね。
松田:基本は戦略ベースで決められていて、例えば「動画広告流行ってる」って話から、動画専門の代理店 CyberBull を立ち上げたりとか。やはり「これをやろうぜ」って戦略があって子会社立ち上がることが多いですね。でも一部「子会社だけ立ち上がって、やること決まってない」パターンがあるんですよね(笑)
坂本:会社的には若手の登用が目的とか?
松田:そういう部分ももちろんあるでしょうね、若手の登用。僕とかどっちかというと全然若手じゃなかったんですけど(笑)
坂本:一般的に見れば相当若手ですけどね。だって当時 28, 9 とかですよね?
松田:28 とかですね。一般的には若手なんですけど Cyber の中だともう中堅もいいとこなんで。
坂本:なんで藤田さんの目に止まったんですか?高場さんの同期だからですか?
田辺:それを絡めたいんですね(笑)
坂本:構図が面白いんで(笑)
松田:謎のライバル関係(笑)。僕の場合はもう 7 年目で、そこそこやってたのに「あいつ埋もれてんな」みたいな感じだと思うんですけど。「お前もっとちゃんとやったら」みたいな。そういう中で資本金をもらって子会社の設立に至りました。
坂本:札束が両手に持てるぐらい?
松田:その例えよく分かんないです(笑)。で、その中でできることっていうのを考えた結果が、少ないコストで沢山作れるカジュアルゲームだったっていう。
坂本:CA グループでカジュアルゲームって、確かに珍しい感じありますね。その時ほかにカジュゲやってる子会社や部署ってありました?
松田:ないですないです。一個もないです。なのでみんなキョトーンとしてました。
坂本:「え、カジュアル?」みたいな?
田辺:「え、そんなん大丈夫なん?」みたいな(笑)
坂本:CA の子会社って確か、ランキング制度みたいなのありますよね。他の子会社と比べられて、結構プレッシャーってあるんじゃないですか?見られるのって、売上でしたっけ利益でしたっけ?
松田:営業利益ですね。営業利益順に毎月報告しないといけないんですよね、状況とか。だからやっぱり段々プレッシャーが出てくるんですけど。立ち上げたばっかりの時は「カジュアルゲーム作ります!今 “もやしを抜くゲーム” 作ってます!」みたいに言ったらみんな「え?どうしたの?」っつって(笑)
坂本:アタマ触れたか、みたいな(笑)
田辺:「ヤバい奴いるよ」みたいな。
松田:それが意外と初月にポーンって 1,000 万円売れて、大した人数でやってなかったので 2 ヶ月目で単月黒字出し、ドヤ、最速だろ!と(笑)。その中でカジュアルゲームを作ってただけなので、これから何をやるかは全く制約無いです。自分たちの持ってるキャッシュの中で、面白そうであったり「ここチャンスあるな」みたいなのあれば、それこそ BtoC に限らず BtoB でもいいし。
坂本:別になにやっても良いんですね。
松田:可能性のある事業であれば何やってもいい、本当に。
坂本:前ぼくがブログで書いてバズった記事で書いたんですけど、でっかい企業が例えばスタートアップ買収したりとか、新規事業始めたりってやると、でっかい企業の意思決定に引きずられるじゃないですか。大きい 100 億円の事業を 1% 伸ばすほうが、100 万円の事業を 10 倍にするよりも簡単だしインパクトあるし、じゃあそっちにリソース割こうよってなりがちだと思うんですけど。
(参考: 大企業に買収されたスタートアップに関する悲劇あるいはおとぎ話)
坂本:大きい会社の中にいることによって意思決定難しかったりすることとかってないですか?
松田:子会社によりますね。戦略事業をやる子会社だと、本社の戦略に大きく左右されますし。僕らだと本当に超自由です。細かい報告とかもほとんどしてないですもん。1 ヶ月に 1 回、事業責任者の会議の時に報告するくらいで。基本的には黒字になってるし、資本も問題ないし、「自由にやったら?」みたいな。
坂本:へぇー。足かせとかないんですか。例えば外部でプレゼンするとか、イベントを主催するとかってなると、広報通さなきゃダメとか、セキュリティ大丈夫?とか、まずディフェンスから入るみたいなのがあったりしたんですけど。
松田:今はしがらみとかもほとんど無いです。自由にできるので、それこそ田辺が全然ヒット出せない時とかは、「田辺くん、かき氷屋さんとかやったほうが良いんじゃないの」みたいな(笑)
田辺:ゲーム作りの現場から見ても、あれやれとか、これやるなみたいなのは、一切無いですね。
松田:「こういうのやろうぜ」っていう提案は、プロデューサーでもデザイナーでもエンジニアでも出していいし、勝算があれば全然やっていこうって。
坂本:それこそゲームじゃなくてもいい?
松田:ゲームじゃなくてもいいです。
坂本:会社の基幹戦略をやるために出来た会社ではないから好きにできる?
松田:多分、逆に好きにやらしといたほうが、意味不明なことして一発当てる可能性があるんじゃないかって、そういう戦略なのかもしれないですけど。
坂本:あーなるほど。会社としてはきちんとやってこれくらい伸ばすけど、そこを下ぶれさせないならギャンブルしていいよみたいな(笑)
松田:そうですね。ぼくらに求められてるのって「CyberAgent にとって想定外の大ヒット」を生み出すことだと思うんですよ。ちょっとした利益を出していても仕方がない。全社から見ると、例えば僕らが 1,000 万円売れたって言っても超ちっちゃい話なんですよ。
坂本:グループ全体からするとそうですよね。
松田:そういう意味で言うともっと大きな賭けをして、それこそ Crossy Road みたいなの作れると、CA にとってもデカいじゃないですか。
坂本:「全然注目してなかったけどなんか当ててくれたぜ」みたいな(笑)
松田:そうそう。想定外のことが起きると僕としてもしてやったりというか。やっぱり最初に思ったのが「もやし」の海外のヒットですよね。CyberAgent が攻めあぐねた海外で。「あれ見た?もやしのやつ1位になってっけど!」みたいな(笑)
田辺:「意味不明!」みたいな(笑)
松田:僕らとしてもそういうのを出していけると一番いいかなと思って。もちろんカジュアルアプリこれからもやりながら、ホームランを何回打てるか。
坂本:なるほどね。
子会社社長・社員の個人としてのモチベーションとは何ぞや?
坂本:会社って言うよりも今度は松田さんだとか、社員の方のモチベーション・やりがいみたいなところを伺いたいんですが。例えばトランスリミット高場さんとかは、独立していて資金も調達していて、事業が当たったら、個人の資産的な意味でも一発ありえるじゃないですか。100% 子会社だと、仮に Crossy Road 出しても松田さんが億万長者にはならないじゃないですか。
松田:嫌な話しますね(笑)。
坂本:いやいや(笑)、大事な話ですよ。何がモチベーションになっているのかなぁって。上手く行った時に松田さんは CyberAgent から評価されて、本社の役員陣の中に入るみたいなところがモチベーションなのか、それをステップにして将来的には自分でゲーム会社を作りたいんだとか、野望みたいなのってあったりするんですか?
松田:難しいところですね。僕の場合、あまり偉くなりたいとか、個人のお金を稼ぎたいっていう欲求がそこまで無くて、とにかく面白いサービスを作って世界的な大ヒットを生み出したい気持ちの方が強いんです。
坂本:だって今の格好見ればね。お金かからない格好ですもんね。短パン・T シャツ・サンダル(笑)
松田:しかも「しまむら」だし(笑)。全身で 1 万円もかかってないですからね。
坂本:しまむら!(笑)
松田:T シャツしまむら、短パンしまむら、サンダルは United の人からもらったやつ(笑)
坂本:しまむらって僕的にはユニクロよりも階層下なんですけど、認識合ってます?
松田:合ってます(笑)
坂本:「最近実はしまむらスゲーよ」みたいなアピールあります?
松田:えっと…特にないです(笑)。T シャツちょっと大きめが好きので、しまむら結構 3L とかのサイズが揃ってるんで良いですね。
坂本:確かに、ユニクロ大きめサイズ少ないですね。
松田:そう、少なめなんですよ。それもあってしまむらを着てるんで。僕ほんとプライベートあんまりお金使わないんで。
坂本:お金使わなさそう。
田辺:松田は三茶 (三軒茶屋) に住んでて、僕も三茶に住んでるんですけど。
坂本:2 駅ルール。
田辺:そうです。三茶でほぼ会ったこと無いんですけど一回だけしまむらの前で見たことがあって(笑)
松田:あれは違うよ、あれは銀だこを買いに行ってたの。
田辺:あんまり変わんないじゃないですか(笑)
松田:銀だこのゴールドカード持ってるから。めっちゃ使ってるから。
坂本:そんな行ってるんだ銀だこ(笑)
松田:銀だこくらいで結構贅沢したなくらいのスタンスなんで(笑)
田辺:たこ焼きにしては高いですからね。
坂本:たこ焼きにしてはね。6個で500円くらい。
松田:高っけ!みたいな(笑)。それで満足なんで、個人のお金でウン億とか持ってても多分あんまり変わんないんで…
坂本:使いみち無いわ、みたいな。
松田:使いみち無い、ホントに。どっちかというと、なんか若干偽善っぽい感じするけど、リアルに世界で流行るようなサービスを作りたいっていうのが一番デカいかもしれない。
坂本:当てたぜっていう充足感を得てみたい、と。
松田:そうですね。「コレ俺作ったぜ!」って、キャバクラでモテたい(笑)
田辺:全部キャバクラで使ってるんじゃないですか(笑)
坂本:キャバクラ行くんだったらもうちょっといい服着たほうが良いんじゃないですか(笑)しまむらだと(笑)
松田:この格好で行と、キャバ嬢とかもドリンク頼みづらくなるでしょ「この人お金ないから…」
坂本:確かに(笑)
田辺:そういう狙いがあるんですね(笑)
松田:本当に世界でヒットするようなサービスを作りたいというのが一番ですね。その先にもしかしたら何か欲求が出てくるかもしれないですけど。
楽しい妄想でインタビューはおしまい
松田:ただ本当に今、超自由にやらせてもらってるので、その中でうまくやりくりしながら、社員みんなが楽しく過ごせたら良いなっていう。
田辺:でもせっかく儲けたら、カオスなオフィス作りたいね、みたいな話はちょくちょくしてます(笑)
松田:僕はハワイに拠点を作って、たまに Chatwork とか Facebook のメッセージとか見て、たまに稟議だけピンって決裁するみたいな、ハンモックに揺られた生活したい(笑)
坂本:その社長要らないな(笑)
田辺:他社さんのオフィスとか見たりして色々参考にしてますね。「この部分はいいね」みたいなのとか。
松田:「ここパクろうぜ」みたいな(笑)
坂本:妄想楽しいですよね(笑)
松田:そういう意味で言うと、僕だけって言うよりはメンバーも含め 15 人弱とかくらいで「みんな会社作ろうぜ」みたいにやってるっていう感じですね。
坂本:親会社が CyberAgent だってだけで、やってることはスタートアップ。
松田:完全に外部のスタートアップと同じだと思いますよ。
坂本:最後に言い残したこととかありますか?
松田:俺は大丈夫かな。キャバクラのくだりだけカットして欲しい(笑)
坂本:そこは載せます(笑)。ありがとうございました!
長かった!以上!
Q
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